日大アメフト部で2人目の逮捕者 今回も同じ「大麻」だったのに「匿名報道」から急に「実名報道」に変わったワケ

国内 社会

  • ブックマーク

警察からの要請があった

 だが不思議なことに、当初、報道の扱いは前回と全く違った。北畠被告の場合はほとんどの社がスタートから「実名・顔出し」。一方、矢部容疑者は「匿名報道」で始まった。大学生が大麻で逮捕された同じ事案なのに、不公平感がある扱いだったのだ。結局、矢部被告については逮捕から1日あまり経過した17日の午後4時になって、急に「実名報道」に切り替わった。

 当初、匿名になった理由は警察からの強い要望だった。

「“まだ名前は報じるな”と厳しく締め付けていたのです。他の容疑者に対する捜査が続いている段階で矢部容疑者の名前が報じられると、供給先を突き止めるための“突き上げ”捜査などに影響が出ることを恐れてのことだった。だが、それを理由に実名報道を控えていたのは僅かで、ほとんどの社は矢部容疑者の名前すら把握できていなかった。今回の事件では当局の口が固かったからです」(同)

 そんな中、矢部容疑者が逮捕されていたことを把握していたTBSなど数社は、「長くは待てない」と当局に通告していたという。

「特にTBSは前回の逮捕でも、『大学生の大麻事件だから匿名だろう』という雰囲気があった中、真っ先に実名報道に踏み切った社。今回も同じで、逮捕翌日に当局からのゴーサインが降りるや否や真っ先に実名に切り替えた。それを機に、各社一斉に実名で追いかけたのです」(警視庁関係者)

実は広報発表されていない事案

 以上が違和感あった報道のウラ事情だが、こんな混乱があったのも警察が本腰を入れて捜査をしていることの現れであろう。2人とも嗜好用に大麻を所持していただけの“微罪”なのに、警視庁はなぜ本気なのか。実際は、警察で広報発表すらされていない事案である。

「警視庁は、7月に摘発した東京農業大学ボクシング部の大麻取締法違反事件については広報発表している。なぜならこちらは単純な所持ではなく営利目的による所持、つまり密売にも関与していた重たい事件だったから。そもそも、大麻の所持だけなら書類送検が“相場”であり、身柄まで取る必要はないという意見もあります」(前出の記者)

 警察が日大の“ウソ”に怒ったからではないか、との声も出ている。

「日大側が会見で、事前に警察関係者には相談したところ『本人からの申告のみでは立証困難』と言われたなどと語った件についてです。警視庁側は『そのような事実はない』と反論している。こうした日大側の警察に責任転嫁するような態度が、“徹底的に調べ上げてやろう”と現場の捜査員らの闘志に火をつけたようだ」(同)

 一部で「OBを含めると20人が吸っていた」とも報道されている日大アメフト部の大麻汚染。いったい捜査はどこまで広がっていくのか。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。