“第二の橋本環奈”がついに上京 「日本一フォロワーの多いアイドル」金子みゆの野望

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 地方出身アイドルながら全国区となった20歳がいる。9月に福岡のアイドルグループ「LinQ」を卒業した金子みゆだ。TikTokのフォロワーは現在約230万人超で、本田翼やHIKAKINなど有名人を超えている。福岡のローカルアイドルはなぜ、ここまでの人気を得たのか。8月には写真集『金子みゆ1st写真集 恋人日記』(講談社)を発売した彼女に飛躍の理由、そして今後の展望を聞いた【徳重龍徳/ライター・エンタメ評論家】

 福岡出身、地元のアイドルグループで活動、ネットを通して一気にブレイク。この流れは橋本環奈のシンデレラストーリーと重なる。

「橋本環奈ちゃんは『奇跡の1枚』でバズって、私はTikTokでフォロワーを増やして、と似ている部分がある。だから頑張ればあそこまで上り詰められるかなと思います」

 のぞかせる自信には裏打ちがある。金子みゆのTikTokのフォロワー数は現在約230万人。アイドルの中ではダントツの多さで、“日本一フォロワーの多いアイドル”とも呼ばれた。

 福岡県宗像市で生まれた金子は4歳からダンスを始め、ステージに立つ喜びを知った。中学2年生で福岡でのファッションイベントで、地元アイドルグループ「LinQ」を運営する芸能事務所にスカウトされる。

 2018年の9月には、LinQの9期生としてアイドルデビューしたが、もともとアイドルには興味はなかった。ただ、ステージに立つ自分をファンが見てくれることにやり甲斐を感じていた。一方で、自身についてはグループでも人気のあるメンバーではなかったと振り返る。

「単純に人気がなかったですね。なかなか見つけてもらえない。会いにきてくれる人もいたんですけど、本命は別の子で“二推し”が私という人ばかり。ツアーの特典会で私の列だけ人がいないということもありました。当時は15歳くらいで、メンタル的にも大変でした」

賛否を呼んだ「コスプレ」が転機に

 高校生となった16歳の夏に始めたのがTikTokだった。それまで事務所の考えでSNSはTwitter(現X)だけだったが、グループ加入から1年がたち、もう一つSNSを増やしていいと言われ、迷わず選んだ。

「TikTokは以前から見ていて、ずっとやりたいなと思っていたんです。なので迷わずTikTokを始めました。今も『毎日、TikTokの動画を撮っていてすごいね』と言われるんですけど、全然苦じゃない。ただ好きでやっているだけなので」

 日々更新を続ける中、飛躍のきっかけとなったのは賛否を呼んだ動画だった。

「初めて1か月くらいの頃に当時流行っていた『鬼滅の刃』の(栗花落)カナヲちゃんの衣装を着た動画をあげたんです。当時『#コスプレイヤー』のハッシュタグがトレンド入りしていて、バズりやすいかなと私もつけて投稿した。そうしたらコスプレ界隈の人から『これは服を着ただけだから#コスプレイヤーじゃない』とコメント欄に批判がきていて、でも『別にいいじゃん』という人もいて、コメント欄が盛り上がったんです」

 TikTokでは独自のアルゴリズムによって高評価を受けた動画が多くの人に表示される仕組みとなっており、コメント欄の盛り上がりもそこに影響していると言われている。金子の動画も一気に拡散され、国内だけでなく海外のユーザーに届き、一気に10万人以上のフォロワーを獲得した。

 さらに2020年にはコロナ禍がやってきた。ライブなどアイドルとしての活動がままならなかったこの時期が後になって考えれば大きかったと金子は振り返る。

「フォロワーはコロナでの自粛中にすごく伸びました。コロナの中で家でできることは何かなと考え、TikTokに本格的に凝り始めたんです。それまで踊っているだけの動画だったけれど、一本一本の動画に表情をたくさん入れてみたり、小物を使って変身系の動画にしてみたりと見る人を飽きさせないようにと考え始めました」

 コロナでの活動期間中にフォロワーは100万人を突破。一番拡散された動画は、再生数1000万回を超えた。それでも当時は「バズったからといって何かが変わるというのはあまりなかったです」という。

 TikTokの影響力を実感したのは、アカウントを開設して3年ほど経った高校生3年のころだった。

「その頃から、LinQのライブにTikTokのフォロワーが会いにきてくれるようになったんです。コロナが明けてライブが再開すると、TikTokで私を知って来てくれるお客さんが増えました。TikTokのフォロワーは若い人が多いし、そういう子は『アイドルファンはおじさんが多い』という固定概念があるだろうから、ライブへ来るにも勇気が必要だったと思うんです。そんな中で足を運んでくれたからすごく嬉しかった」

 金子のTikTokでの人気ぶりが広まり、個人での仕事も増えていった。2022年には「関西コレクション」でランウェイを歩き、ロート製薬「ロート Z!」のWeb動画ではお笑い芸人のチョコレートプラネットと共演。気づけば他のグループのアイドルからも「写真を撮ってください」と頼まれる有名人になっていた。

 LinQでの活動と並行し、ここ1~2年は東京での個人の仕事も増えた。その中で、芽生えてきた思いがあった。

「もともと誰かに憧れるというより、自分が有名人になりたいと思って芸能活動を始めました。TikTokの影響で仕事が増える中で、個人の方が昔の自分の目標に合っていると思って。アイドルは楽しかったですし、いろいろな人に出会うことができた。そこには感謝しつつ、次のステージに進もうと思いました」

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