「末端の組員まで切り崩せ」 6代目山口組の最新通達は何を意味するのか?

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神戸山口組に対してか?

 6代目山口組がまた新たに水面下で通達を出したという。具体的な中身とはどういったものだったのか?

 過去の6代目山口組による通達を振り返ってみると、2種類に分類される。神戸山口組に対するものか、あるいは暴排条例やそれに関連して共謀共同正犯を意識したものだ。

 例えば2021年8月に福岡地裁で工藤會のトップに死刑判決が下った際、「公共の場で銃器の使用を控えるように」との通達が6代目山口組から傘下組織に出されたことがあったが、これは後者、すなわち共謀共同正犯を意識してのものに該当する。

 明確な物証がない中、推認で死刑判決にまで至った事実を重く見て、今後、傘下組員の犯行によってトップに累が及びそうになるのを回避しようといった思惑も、この通達からは透けて見えた。暴力団が銃器を使わないということは想定しづらく、当局向けのパフォーマンスが多分に含まれていたものだろう。

 さて、今回の通達とはどちらにあたるものだったのか?

300万円とも500万円とも

「神戸山口組に対するもので、“末端の組員まで切り崩せ”という内容だったと聞いています」

 と、竹垣悟氏(元山口組系義竜会会長で、現在はNPO法人「五仁會」を主宰)。

 切り崩し作戦はこれまでも絶え間なく続けられ、結果としてそれなりの成果があった。神戸山口組の井上邦雄組長の秘蔵っ子として山健組を継いでいた中田浩司組長の6代目への移籍も、その1例だろう。

「すでに神戸側の幅広い層にメッセージが伝わっているとのことです。アメとムチを使い分け、金銭的な面で篭絡することもあれば、武力行使でねじ伏せるということもあり得るでしょう」(同)

 アメの部分には相場のようなものが存在しているという。

「300万円とか500万円とか、移籍に際して支払うこともあると聞いたことがあります。直参クラスやある程度、若い衆を抱える組織のトップを対象にしているようですが、彼らにとってはそう大した額とは言えないのかもしれません」(同)

 そこまで引き抜きたい大物が残っていないこともあって、支払う側も“誠意”を大幅に積み上げる必要はないのかもしれない。

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