【ブギウギ】女優・趣里の原点は4歳で始めたバレエにあり 3つの出演作で検証する実力と魅力
朝ドラオーディションで評価された表情と演技力
10月からスタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」は、大阪育ちの主人公・花田鈴子が、歌と踊りを武器にして戦後の大スターに上り詰める物語だ。
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大ヒット曲「東京ブギウギ」などで知られる笠置シヅ子をモデルにした鈴子は、2471人の中からオーディションで選ばれた趣里(33)が演じる。水谷豊と伊藤蘭の一人娘という事実を知っている人は多いが、演技者としての実力と魅力はどれほどのものだろうか。
趣里の演技で特徴を一つ挙げると、目に表現力があることだ。何かを訴えかけているようで、見ている側が飲み込まれそうになる。しかも、その目にはさまざまな表情があり、演じる役によって見え方がまったく異なる。「ブギウギ」の制作サイドは「猫の目のようにくるくると変わる豊かな表情と、ちょっとハスキーな声」(脚本家・足立紳氏)や演技力を評価した。
バレエを通じたさまざまな経験が演技に生かされている点も大きい。趣里は4歳からバレエを始め、世界で活躍するバレリーナを目指してイギリス留学も果たした。練習中の大ケガで夢を断念したが、バレエで表現力を磨いたようで、演技に軽やかさとしなやかさがある。特に、立つ姿と歩く姿が抜群に美しい点は注目に値する。そこで今回は、趣里の演技力の凄さがわかる出演作を紹介しよう。
少女の雰囲気とコメディエンヌの資質
まずは、映画初主演作の「おとぎ話みたい」(2014)だ。彼女が演じたのは地方の高校3年生・高崎しほ。彼女のひと冬の淡い初恋を描く作品だった。
驚かされたのは、4人組ロックバンド「おとぎ話」による挿入歌「COSMOS」のMVである。趣里が銀座の雑踏の中を踊りながら走り抜けるという映像で、まったく体重を感じさせない妖精のような動きだった。最初は哀しげだった表情が、踊るうちに心が解放されたのか、次第に笑顔になる変化も印象的だ。
映画も彼女のダンスと「おとぎ話」の音楽とともに展開し、しほの過剰な自意識と激しすぎる愛が描かれる。特に秀逸だったのは、社会科教師・新見(岡部尚)への片想いをぶちまけた「先生に気狂いと思われたい」というセリフだ。まさに切実で深刻な気持ちを抱えたしほだった。
ラブコメディーの「過ちスクランブル」(2017)は1週間限定で劇場公開され、劇場版とは違った結末のドラマもCS局で放送された。趣里が演じたのは、会社の同僚の空山信介(若葉竜也)に想いを寄せる主人公・君島理沙だ。
この2人の前に現れた相沢祥子(橋本マナミ)は既婚者だったが、信介と秘密で会っている。それを知った理沙は妄想を暴走させ、2人の仲を引き裂こうとさまざまな手を使うが、その結果とんでもない過ちを犯してしまう。
趣里は「まさか私がラブコメをやる日が来るとは思っていませんでした」とコメントした。確かに本作までの彼女は、影のある役や少女の雰囲気が残る役で映える女優という印象だった。ところが本作では。真っ直ぐで愛らしく、おっちょこちょいな理沙を好演し、コメディエンヌの資質を存分に発揮している。
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