テレビ局は政略結婚も画策…全てを知る、絶対的存在「藤島ジュリー氏」に問われる説明責任

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口を開かなければ多くの問題が闇に葬り去られる

 一方、ジャニーズ事務所には今年1月時点で6人の取締役がいたが、ジュリー氏の取締役歴は2番目に長い。

 また、13ある関連会社のうち、10社の社長だった。タレントグッズを販売するジェイステーションや音楽著作権を管理するジャニーズ・ミュージックカンパニーなどである。

 ジュリー氏はエージェント会社に関与せず、関連会社の社長も退任する。それを理由に2度と口を開かないつもりだろうか。そうであるなら、ジャニーズ事務所の諸問題は多くが闇に葬り去られてしまう恐れがある。

 ジュリー氏は性加害問題を知らなかったというが、それではジャニー氏は80歳過ぎまで誰にも気づかれずに行為に及んでいたのか。にわかには信じがたい。新旧の全社員への聞き取りを行うべきではないか。また、芸能人の生活を大きく左右する忖度の全容も明かすべきだ。

 補償金を支払ったら、それで済む話ではないはず。社会や後世に対する説明責任がある。ジュリー氏の体調面に問題があるのなら、前検事総長の林眞琴弁護士をリーダーとした再発防止特別チームが聞き取る形でもいいのではないか。

ジャニーズに出向、そのまま転籍したフジ社員

 林氏らが前面に立たなくなった途端、同事務所の対応が緩んだように見えるのは気のせいではないだろう。

 ジュリー氏の古巣であるフジテレビは2018年、松本潤(40)主演の連続ドラマ「ラッキー・セブン」(2012年)をプロデュースした重岡由美子・編成局編成センターゼネラルプロデューサーをジャニーズ事務所に出向させた。資本関係のない芸能事務所へ民放が社員を出向させるのは極めて異例だった。

 重岡氏が出向した当時のフジテレビ専務・遠藤龍之介氏(現日本民間放送連盟会長)は「ジャニーズさんには、いろいろなタレントさんがいるし、ショービジネスのスキルがある。将来的に共同のコンテンツを作ることができれば」と話していた。

 重岡氏はその後、同事務所に転籍。9月7日の会見時までは取締役を務めていた。やはりテレビ局にジャニーズ問題の報道は難しい。なお、フジテレビはまだ自己検証番組を放送していない。

 ジュリー氏は自ら知る限りのことを話すべきだろう。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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