米軍が特別扱いするイスラエル軍の全貌 ガザの市街戦で投入される独自兵器「ナグマホン」、世界トップレベルの「C4Iシステム」とは
ナグマホンの実力
現在、世界各国の軍隊は「C4Iシステム」の構築に力を入れている。この分野でもイスラエルの技術力は傑出しているという。
「C4Iシステムとは軍隊における情報システムを指します。その範囲は多岐にわたり、一例を挙げると、インターネットを活用した陸上部隊と航空部隊の連携などが期待されています。陸と空で自軍と敵軍の位置を正確に把握し、リアルタイムで連絡を取り合いながら一斉攻撃を行うわけです。ロシア陸軍も実現を目指していますが、なかなか成功していません。ところが、イスラエルのC4Iシステムは世界トップクラスと評価されています。長年にわたって蓄積された実戦経験がシステム構築に寄与しているのは言うまでもありません」(同・ジャーナリスト)
イスラエル軍は市街戦の経験も豊富だ。あのガザ地区で、長年、過激派やテロリストの掃討作戦を行ってきた。ガザ地区の面積は約356キロ平方キロで、種子島とほぼ同じ大きさだ。そこに約200万人が住んでおり、世界でも有数の人口密度となっている。
ガザ地区での市街戦を優位に進めるため、イスラエル軍は独自兵器も開発している。その一つが「ナグマホン」だ。
「ナグマホンは、戦車の砲塔を撤去し、密閉式の戦闘室を乗せた重装甲歩兵戦闘車です。戦闘室は『犬小屋』と呼ばれ、丸い塔のような形をしています。塔には小さな窓がいくつも取り付けられ、そこから機関銃の銃身が突き出し、周囲にフェンスのような防御装甲が取り付けられているタイプもあります。異様な外観から『モンスター』というあだ名が付けられました。ベースは戦車ですから防御力は極めて高く、ガザ地区の暴徒鎮圧に戦果を挙げてきました」(同・ジャーナリスト)
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