米軍が特別扱いするイスラエル軍の全貌 ガザの市街戦で投入される独自兵器「ナグマホン」、世界トップレベルの「C4Iシステム」とは
様々な優遇措置
アメリカがイスラエル軍に与える“優遇措置”は多い。例えば、日本の航空自衛隊はF-35のソフトウェアに触れることを禁じられているが、イスラエル空軍──正式名称はイスラエル航空宇宙軍──には許可されている。
「理由は、イスラエル空軍のパイロットが実戦で得た戦訓をアメリカも必要としているからです。貴重な実戦経験を元に、イスラエル空軍はF-35のソフトウェアを改良します。もともとイスラエルは、戦闘機も自国で開発できるほど技術力の高い国です。F-35の性能が向上するのは当然で、アメリカ軍も大歓迎というわけです。他にも、イスラエル国内にはアメリカ軍の武器集積所があります。中東諸国に睨みを利かせるため備蓄しているわけです。これもアメリカ議会の可決を得られれば、イスラエル軍が使うことができます」(同・ジャーナリスト)
イスラエルは建国以来、数え切れないほどの戦争を遂行してきた。何しろ建国すると戦争が起きたほどだ。
独立を宣言したのは1948年5月14日。するとレバノン、シリア、トランスヨルダン、イラク、エジプトのアラブ連盟5カ国はイスラエルに対し戦線を布告し、翌15日に進軍を開始(後にサウジアラビア、イエメン、モロッコも部隊を派遣)、第一次中東戦争の戦端が開かれた。
主なものを列挙するだけでも、1956年は第二次中東戦争、1967年は第三次中東戦争、1973年は第四次中東戦争、1982年はレバノン戦争、1987年は第一次インティファーダ、2000年は第二次インティファーダ、2006年はレバノン侵攻、2006年と2008~2009年はガサ紛争、2011年からのシリア内戦では空爆……という具合だ。
「イスラエル軍が経験した戦争は、その形態も多岐にわたります。敵国軍との正規戦だけでなく、テロ組織の掃討や人質奪還、暴動鎮圧といった非正規戦争や特殊作戦の経験も豊富です。平時で約17万人のイスラエル軍は、総兵力が130万人を超えるアメリカ軍に匹敵する実戦経験を積んでいます」(同・ジャーナリスト)
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