米軍が特別扱いするイスラエル軍の全貌 ガザの市街戦で投入される独自兵器「ナグマホン」、世界トップレベルの「C4Iシステム」とは

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 戦力差は圧倒的なのに、なぜ無謀な作戦は行われたのか――。専門家は首を傾げる。現地時間の10月7日の午前6時半頃、パレスチナ暫定自治区のガザ地区からイスラエルに向けて、イスラム組織ハマスが3000発以上のロケット弾を発射した。

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 戦闘員が検問所を襲撃し、分離壁も突破、一斉にイスラエル国内に侵入した。パラグライダーやボートを使って侵入した戦闘員もいたという。

 軍事ジャーナリストは「イスラエルの主力戦車『メルカバMk.4』がハマスに破壊された映像には衝撃を受けました」と言う。

「メルカバの防御力は、世界屈指のレベルを誇ります。イスラエルの人口は約950万人で、男女問わず徴兵制を実施しています。それでも常に兵力は不足気味です。そのためイスラエル軍は、人命最優先の思想を徹底しています。世界各国の戦車は機動力を高めるためエンジンを後部に設置していますが、メルカバは前面です。エンジンが一種の“盾”となり、戦車兵の命を守る設計になっているのです。装甲も厚いはずなのですが、メルカバが黒煙を上げながら燃える様子が、SNSを通じて世界中に拡散されました」

 ロイター通信はイスラエルに侵入したハマスの戦闘員を約1000人と報じた。少なくともその一部は、戦車を破壊できるだけの火力を持っていたことになる。

 ハマスの戦闘員は兵士と民間人の区別なく襲いかかり、残酷な手段で殺害し、人質に取るなどした。11日の時点で、イスラエルの死者は1200人に達したと報じられている。

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