“格下”カナダ戦で日本代表が得た収穫は6選手 カナダDFにサポーターはブーイングすべきだった…

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南野拓実の順応性

 残念ながら中村は相手の悪質なファウルで左足首を捻挫。今日のチュニジア戦(ノエビアスタジアム神戸)でのプレーは難しいだろうし、帰国してからのリーグ戦にも影響が出るかもしれない。

 彼を引き倒したDFアリスター・ジョンストンがボールを持ったら、そのたびにサポーターは大ブーイングでプレッシャーをかけるべきだったし、交代で下がる際も大ブーイングは必要だった。日本代表のサポーター集団「ウルトラス」もずいぶん優しくなったようだ。

 収穫の最後としては、4-1-4-1のシステムからいつものポジション(ボランチやインサイドハーフ)より前目でプレーした田中と、引き気味のポジションでプレーした右MF南野拓実の順応性が指摘できる。

 これまでも意外性のある飛び出しでゴールを決めてきた田中だが、カナダ戦ではよりアグレッシブに攻撃に絡み、チーム最多の5本のシュートから2点を決めた。このポジションには鎌田大地がいるものの、今回はその不在を補って余りあるプレーを披露したと言える。

 カタールW杯以来の代表復帰となった南野も、2点目のOGにつながる果敢な飛び出しに加え、ポジション特性から下がってパスを受けて“つなぎ役”になるなど、攻撃はもちろん、毎熊や右MF伊東と連係して守備でも積極的なプレーを見せた。ただ、このポジションには堂安律や久保がいるだけに、代表定着にはまだまだアピールする必要がある。

海外組招集は考え直すべき

 気になったのは、いい形でペナルティエリア内に侵入してパスを受けながら、シュートがゴール枠を捕らえきれなかったことだ。こちらは感覚的な問題かもしれないので、時間が解決してくれることを期待したい。

 一方の課題であるが、ドイツのバイエルン・ミュンヘンでプレーするデーヴィスとフランスのLOSCリールでプレーするFWジョナサン・デイヴィッドの2人は手強かったが、それ以外はかなり戦力がダウンしたし、DF陣のビルドアップは“ボールの散らし方”や“引きつけてからの外し方”が発展途上という印象が強かった。

 こうした相手では、攻撃陣の収穫が見つけやすい反面、守備陣の課題は見つけにくい。さらに、セルフコントロールのできないような相手の反則で中村がケガをした。マッチメイクの難しさを改めて考えさせられたカナダ戦である。

 そして、体調不良で参加を辞退した鎌田と堂安、三笘に続き、急きょ追加招集した左MF奥抜侃志と伊藤洋輝もコンディション不良のためチームから離脱した。国内での親善試合に多くの海外組を招集する是非を改めて考え直すべきだろう。

 カメラマンの情報によると、カナダ戦の前のウォーミングアップに伊藤と久保は参加せず、ベンチに座ってチームメイトの練習を見ていたそうだ。その伊藤がチームを離れただけに、久保がチュニジア戦でプレーできるのかどうか、こちらも気になるところだ。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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