議事録をチャットGPTに任せる自治体が登場! 「イベントのキャッチコピーもAIがアイデアを出します」
将来は転入届や印鑑登録の手続きもAI職員が「ワカリマシタ」なんて言いながらやってくれるのだろうか。
北海道の当別(とうべつ)町は札幌市に隣接する人口約1万5千人の町だ。その当別町役場が、今月1日から文章生成AI「チャットGPT」を本格導入した。生成AIの利用は茨城県や神奈川県などの自治体でも進んでいるが、本格導入はまだ一部。北海道では当別町がトップランナーだ。
当別町役場に聞くと、
「チャットGPTは町長が音頭を取って7月から実証実験を始めており、その効果が確認できたことから本格導入に踏み切ったわけです。具体的には町議会の議事録や各部署で行われる会議の要約をチャットGPTに任せることになる。もちろん、生成物は責任者がチェックします」(デジタル都市推進課の担当者)
キャッチコピーもチャットGPTに
その結果、例えば会議録の要約では、30分から1時間程度、作業時間が短縮できたケースもあるという。それにしても役所というところは、そんなに会議が多くて話が長いのだろうか。
「町議会では厚生関係や建築、教育など、多岐にわたる質疑が行われ、時間もかかります。議事録も膨大な量になり、広報誌に掲載しきれないというのが現状。それを短くまとめて、掲載できるサイズの文章にするわけです。また、町のイベントがある際には、パンフレットのキャッチコピーもチャットGPTにアイデアを出してもらいます」(同)
「役所の業務は生成AIと相性がいい」
すでに役場では、職員の4割が日常的にチャットGPTを使いこなしているというが、
「役所の業務は生成AIと親和性が高いのです」
とはITジャーナリストの井上トシユキ氏。
「地方議会では議事録の筆記作業を軽減するため20年近く前から音声認識ソフトの導入が始まり、今では広く使われています。当初は議員の訛(なま)りをきちんと認識できなかったり“進行”を“信仰”と間違えたりしましたが、ここ数年で精度が高まった。その音声認識ソフトのデータをチャットGPTに読み込ませれば、随時必要な部分だけを抜き出し、かつ、まとめられるようになる。しかも、それをもとに簡単な企画書の類なら書いてくれる。私はセミナーでチャットGPTの活用法について話すことがありますが、出席者のなかでは自治体職員の方が非常に積極的です」
ちなみにAI職員が住民対応をしてくれるのは、まだ先になりそうである。