仲良し友人夫婦の付き合いが、一転、不倫劇に… 42歳夫だけが知らなかった彼らの面倒な過去
誰も割り切れてはいなかった
一方で、将史さんは妻の不倫に気づいていないようだ。気づいていないというより、妻の子どものことからは逃げ続けたいのだろう。
「芽衣さんに、もうふたりきりで会うのはやめようと先日、伝えたんです。そうしたら彼女、『来春、息子が上京してくるの。それまで私を支えて、お願い』って。芽衣さんの気が強そうで実はすごく脆いところが気になって、振り捨てるようなことはできない。だからといって妻を傷つけていいことにはならないんだけど……」
誰もが大人のふりをしていたが、実際は誰も割り切れてはいなかった。そんなひずみが一気に秀太朗さんの肩にかぶさってきたのだ。なぜ自分が背負わなければならないのかわからなかったが、子を亡くしたときの芽衣さんと将史さんの恩には報いたいとも感じている。
「でも僕にとって、いちばん大事なのは静佳と子どもです。すべてクリアにするから、もう少しだけ待ってほしいと静佳に言いました。今は芽衣さんの気持ちが落ち着きつつあるから、会っても男女関係にはなっていません。 このまま友だちに戻っていくのがいちばんいいと思う。あとは将史さんと芽衣さんが、今まで通りの関係になってくれれば言うことないんですが」
将史さんとも一度会って、ちゃんと話そうと考えていると秀太朗さんは言った。複雑でやっかいな人間関係に飛び込んだ彼は、「誰もかれも気の毒な状態で、感情がもつれた糸玉みたいになっている。きれいにほぐすにはどうしたらいいのか考える日々です」
考え、悩み、迷いながらも、秀太朗さんはそれぞれが以前のような夫婦に戻る日を求めている。
前編【42歳夫が悩む「妻の親友たち」との関係性 “やっと仲間に入れた”と思った矢先、我が子に悲劇が】からのつづき
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