仲良し友人夫婦の付き合いが、一転、不倫劇に… 42歳夫だけが知らなかった彼らの面倒な過去
隠されていた男性の存在
芽衣さんと静佳さんが中学時代から仲良しで、高校に進学してから将史さんと親しくなったのは事実。だが、実はここにもうひとりクラスメイトの男子がいた。彼は雅和さんといって、繊細な文学青年だった。芽衣さんと雅和さんがつきあうようになり、静佳さんは当時、将史さんとつきあっていた。
「つきあうといっても当時の高校生だから、せいぜいキス止まりよ。それは静佳も同じだと思うと芽衣さんは言いました。でも高校を卒業した春休み、芽衣さんは雅和さんと関係をもち、子供を身ごもった。そのころ、静佳と将史さんは大学進学のために上京していた。芽衣さんは出産する覚悟を決めた。だが大学受験に失敗してただでさえ落ち込んでいた雅和さんは、それを受け止めることができずに自殺してしまった。芽衣さんは男の子を出産、雅和さんの親のたっての願いで子どもを両親に預けた。彼女は2年遅れで上京、進学したそうです」
3人はまた東京で会うようになったが、芽衣さんに同情した将史さんが彼女に接近、静佳さんとの関係は破局した。それでも静佳さんと芽衣さんの仲は壊れず、そのうち静佳さんは芽衣さんと将史さんを応援するようになった。
「そんなときに僕が静佳と知り合った。3人にとって、僕がいることで緊張状態が緩和されるとわかり、積極的に僕を仲間に入れてくれるようになったみたいです」
今も続く“縛り”
ところが亡き雅和さんの子を育ててくれていた両親が体調を崩した。父が半身に麻痺があり、母は介護に追われて転倒して骨折。芽衣さんの息子が大学を休学して介護にあたっていることがわかったのだ。
「芽衣さんは自分が母親であることを息子に伝えていたけど、遠方ということもあってなかなか会えずにいたそうです。息子はひとりで介護していると芽衣さんには知らせなかった。雅和さんの母が、孫があまりに不憫だと芽衣さんに状況をつたえてきたんですって。芽衣さんは当然、息子には息子の人生を歩ませてやりたいと願った。 \そこで将史さんに相談したけど、彼は自分の子ではないから消極的らしく、そこで関係がうまくいかなくなったみたいです 」
もっといえば将史さんはかつて、雅和さんをライバル視しているところがあった。友人の死はつらかったのだろうが、今になってなお雅和さんが自分たちを縛っていると感じてもいるようだと芽衣さんは涙ぐんだ。
「僕が軽々しく何か言うわけにはいかないけど、芽衣さんの息子は解放してあげたいとは思いました。親戚に働きかけて施設に入れるしかない。そのほうがみんなのためだと思うと言ってしまった。芽衣さんは『そうよね』と涙ながらに言って、自分を励ますように頷いていました」
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