「小学生に英語授業」は間違っている? 学力テストで英語の成績は低下、「話す技能」は6割以上が0点

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全問不正解が6割以上

 とりわけすさまじいのが「話す」で、12.4%という極めて低い正答率です。それにも増して問題なのが5問のうち1問も正解できなかった生徒が6割以上もいたことです。

 これでは、学力調査の意味をなしません。生徒たちの成績を見極め、課題を探ることを目的とする試験の体をなしていないのです。そんなひどい問題を文科省は作ってしまった。

 このことから明らかなように、政府・文科省が掲げている「理想」と、生徒たちの「現実」が乖離してしまっている。客観的に考えれば、目標の設定が間違っていると言わざるをえません。

 しかし、それを認めず、理想に到達できていない生徒や指導が悪いという方向に話が進もうとしている。これでは、大和魂が足りないからB29を撃ち落とせないんだと言っているに等しい。これぞまさに、大本営発表で事実を隠し、主観的願望で無謀な作戦を強いる軍参謀そのものです。

ブラック企業のノルマ

 そして、今回の学力テストが犯罪的だと感じるのは、「話す」技能において6割以上の生徒に「全く英語が話せない」という挫折体験をさせてしまったことです。

 数年に1回の学力テストで0点を取ってしまった。普通の子であれば、とてつもない挫折感を味わうはずです。そして、その挫折感は「英語は難しい、僕にはできない」「もう私には無理」という諦めを生み出します。この先、高校も大学も控えている中学生に、英語への忌避感を植え付けることを、犯罪的と言わずして何と表現すべきでしょうか。

 実は、こうなるのは目に見えていたことなのです。20年度までは、中学校卒業時までに覚える英単語は約1200語でした。ところがそれ以降は、小学校で600~700の英単語を覚え、中学校では1600~1800の英単語を覚えなければいけなくなりました。中学卒業時点で比較すると、1200から最大で2500へと、覚える英単語は倍増している。これでは、まるでブラック企業のノルマです。1~2割増ならまだしも倍増ですから、当然、その負荷に生徒はもちろん、教師も耐えられません。

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