鉄道フェスティバル、今年の会場はなぜ日比谷公園でなかった? 現地で感じた可能性
“政治的な思惑”
東京の湾岸エリアは、五輪前後から開発が進められた。中央区晴海の選手村跡地は約18ヘクタールにも及ぶが、そこには五輪閉幕後に約5,600戸の集合住宅・商業施設から構成されるHARUMI FLAGを造成する。これは湾岸エリア開発の目玉になっていた。
そのHARUMI FLAGには多くの人が居住することを想定。居住者は東京都心部へと通勤するので、東京都は湾岸エリアの開発と同時に公共交通機関を整備しなければならなかった。
こうして、湾岸エリアの足となる東京BRTが2020年から運行を開始。東京BRTは今年4月1日からプレ運行(二次)へと切り替わり、虎ノ門ヒルズ―東京テレポート間を走る路線も開設された。同路線を走る東京BRTは、途中で国際展示場前を経由する。鉄道フェスティバルの新たな会場になったシンボルプロムナード公園は、国際展示場の目の前にある。
こうした点を踏まえると、東京都が鉄道フェスティバルをはじめ多くのイベントを誘致して湾岸エリアを活性化させ、開発機運を盛り上げたい。湾岸エリアを盛り上げることで、HARUMI FLAGにも弾みをつけたい。だからシンボルプロムナード公園を猛プッシュしたという思惑が透けて見える。
仮に、そうした政治的な思惑があったとしても、シンボルプロムナード公園がイベント会場に適しているなら何の問題もない。
現地を訪れると…
では、実際に鉄道フェスティバルの様子はどうだったのか? 筆者は会場に足を運び、自分の目で今年の鉄道フェスティバルを確かめることにした。
今年の鉄道フェスティバルは10月8日と9日の2日間にわたって開催され、8日が曇、9日が雨という天候に恵まれなかった。
また、会場変更ということもあり、誤って日比谷公園へと足を運んでしまった鉄道ファンがいたかもしれないが、会場が変わったことによる大きな混乱も特に感じられなかった。
そうした会場変更や天候によるハンデはあったにも関わらず、久しぶりの開催となった鉄道フェスティバルは盛況だった。
シンボルプロムナード公園という会場についても、特に問題はないように感じた。むしろ、日比谷公園よりも広いので、出展者のブース間隔や通路が広くなっていた。
図らずも日比谷公園からシンボルプロムナード公園に会場が変わったことで、会場の快適性が増した。なにより筆者が強く感じたのは、これまでの鉄道フェスティバルより自由度が増し、出展者のやり方次第では面白いブースを出すことができる、ということだった。
筆者は毎年のように鉄道フェスティバルに足を運んでいるが、近年の鉄道フェスティバルは鉄道各社が物販に傾斜し、それは年を追うごとに色を濃くしていると感じていた。そのため、近年は鉄道イベントというよりは物販イベントと表現した方が適切のような雰囲気になっていた。
今回の鉄道フェスティバルはステージイベントが中止になり、ミニSLの運行もないことが事前からアナウンスされていた。そのため、筆者は販売イベントの趣がより濃くなるのではないかと危惧していたが、それも無用の心配だった。
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