鉄道フェスティバル、今年の会場はなぜ日比谷公園でなかった? 現地で感じた可能性
1872年10月14日は、日本国内で最初の鉄道が開業した日だ。それを記念し、1994年に10月14日が鉄道の日に制定されている。以降、10月14日前後の週末には鉄道フェスティバルが開催されてきた。
【写真】今年はシンボルプロムナード公園で開催されたフェスの模様
鉄道フェスティバルは東京・千代田区の日比谷公園を会場にして開催されるのが恒例になっていたが、2019年は台風の影響で中止。2020年と2021年は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するという名目から開催していない。
2022年は鉄道開業150年というメモリアルイヤーにあたる。それゆえに、さすがに鉄道フェスティバルそのものは開催されることになったが、ステージプログラムや鉄道各社による出展ブースでの物販は見送られた。
今回の鉄道フェスティバルは第30回の節目にあたり、コロナ禍の心配もないことから久しぶりに鉄道各社の出展ブースが戻ってきた。しかし、今年は会場を江東区のシンボルプロムナード公園に移しての催行となった。
鉄道フェスティバルが日比谷公園で開催されなかったことは、これまでにもある。例えば、2012年は東京・港区の明治公園で開催している。そのため、必ずしも日比谷公園が会場に固定化されているわけではないが、それでも鉄道フェスティバルは日比谷公園で開催されるイベントというイメージが鉄道関係者や出展者、ファンの間に定着している。
「工事中だから」だけではない事情
なぜ、これまで慣れ親しんできた日比谷公園ではなく、シンボルプロムナード公園で開催されたのか?
「現在、日比谷公園は大規模な工事中で、大規模なイベント会場として使用できません。そのため、やむなく代替地を探すことになりました。鉄道フェスティバルが開催できる広い公園は、都内にそれほど多くありません。当初、会場候補地として有力だったのは江東区に所在する木場公園と渋谷区に所在する代々木公園、世田谷区と目黒区にまたがる駒沢オリンピック公園の3つでした。木場公園は知名度が低く、都内中心部から離れた場所にあるので交通アクセス面で不便が生じるとの理由で候補からはずれました。代々木公園はイベント開催地として人気が高いのでスケジュールを抑えるのが難しく、なによりも公園の使用料が高いことがネックになりました。駒沢オリンピック公園は都心部から遠く、すでにスケジュールが埋まっていたので断念しました」と説明するのは、鉄道フェスティバルを主催する「鉄道の日」実行委員会事務局の担当者だ。
日比谷公園は、2033年に開園130年を迎える。東京都は記念すべき年に向けて、段階的に日比谷公園を整備していくとの方針を打ち出している。つまり、今後10年前後にわたって日比谷公園は改修工事期間となるので、鉄道フェスティバルのような大規模イベントを開催できない。
そうした事情を受け、「鉄道の日」実行委員会は今年3月頃から代替の会場地 を探していた。そして、7月頃にシンボルプロムナード公園での開催を決定する。
この説明だけを聞くと、会場の選定過程は順当のように思える。しかし、事務局の関係者は、「鉄道フェスティバルの会場がシンボルプロムナードに決まった理由は、なによりも東京都による猛プッシュがあったから」と裏事情を明かす。
東京都は、なぜシンボルプロムナード公園を猛プッシュしていたのか? それは東京五輪開催後の湾岸エリア開発計画が関係している。
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