最大の弱点を最後まで克服できず…16年新人王・阪神「髙山俊」が戦力外通告された全真相

スポーツ 野球

  • ブックマーク

待ったをかけた岡田監督

「昨年、岡田監督が就任してまもなく、現役ドラフトが開催されたんですが、岡田監督は候補者のリスト作りには関わっていません。なので、出来上がったリストを見て、岡田監督は待ったを掛けたんです。髙山と板山は何とかしてやりたいと言って」(前出・関係者)

 昨秋のキャンプでのこと。岡田監督は「気になった選手はいますか」と質問され、間髪をいれずに「板山がええ!」と答えている。板山はそんな親心に応えるかのように春季キャンプ、オープン戦を乗り切り、開幕一軍のキップも掴んだが、5月に二軍落ち。そのまま消えてしまった。

 一方、髙山は自身の危うい立場を察していたのかもしれない。春季キャンプ中、打撃練習を中断し、ノートを開いていた。岡田監督がその姿を見て自ら指導に乗り出したが、髙山のバットから快音は聞かれなかった。

「基本、岡田監督は選手への直接指導はしません。『よほどのことがない限り、コーチに任す』と言っていました。髙山は歴代打撃コーチの指導を素直に聞いていましたが、その素直な性格が裏目に出てしまい、自分を見失ったのかもしれません」(ベテラン記者)

 結局、苦手だった内角への速いボールを捌く技術を習得できなかった。

 コーチ経験を持つプロ野球解説者によれば、球団が戦力外通告についての話し合いを始めるのは5月のゴールデンウィーク前後だという。早すぎる感もしないではないが、打者であれば入団から1000打席がメドとされ、たとえば800打席を消化している選手がいたら、「その選手に900、1000打席とチャンスを与えていく価値があるのか」を二軍監督やファームコーチたちが話し合うのだそうだ。その1000打席にはシート打撃や練習試合も含まれている。

「価値がないと判断された選手は出場機会を失っていき、遠征メンバーから外されることも多くなります。夏場以降、『自分はクビだ』と察する選手が多いのはそのためです。プロ野球のコーチが黒いチャックのついた手帳を持ち歩いていますよね、アレが打席数などを記したエンマ帳なんです」(プロ野球界説者)

 ファームコーチの意見が分かれた場合、味方した側のコーチが「彼は一生懸命やっているんです。ウチではもうチャンスはありませんが…」と、他球団のコーチや顔見知りのフロント職員に連絡を入れているという。

「戦力外通告を受けた選手たちが実戦形式のテストを行うトライアウトが毎年行われています。そこで好結果を残してもオファーを受けた選手が少ないと言われるのは、事前にコーチからのお願いがあったかどうかが影響することもあります」(前出・関係者)

 髙山は今季、ファーム戦92試合、304打席のチャンスをもらった。300打席以上は期待の若手でもなかなかもらえない。ファーム首脳陣も総出で「何とかしてやりたい」と思っていたのではないか。

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。