中国向けの魚介類禁輸でも真珠はセーフ? 「アクセサリーに加工すると、水産物といえるのか微妙」

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 9月28日、財務省が公表した8月の貿易統計を見て、肩を落とした漁業者もいたに違いない。中国向けの魚介類の輸出額が前年同月比で70.8%もの減少となったからだ。福島第一原発の処理水放出を受けて、中国政府が仕掛けてきた禁輸措置の影響が現実となってしまったのである。なかでもホタテは中国向けに年間467億円(2022年)を輸出しており、大打撃は必至。ところが、意外な業界もこの数字に戦々恐々としているのだ。

「真珠の養殖・輸出業者です。養殖真珠は水産物に分類され、管轄も農水省。年間で約238億円が輸出されており、そのうちの約73%が香港向け。香港からは、さらに北京や上海など中国各地に輸出されています」(農水省担当記者)

香港には輸出できるが…

 日本の養殖真珠は中国人に人気で、あちらでは日本産というだけでネックレスやイヤリングが飛ぶように売れる。それだけに、禁輸となればダメージは計り知れないが、輸出業者等で組織される日本真珠輸出組合によると、今のところ香港は規制の対象外となっている。だが、分かっているのはここまで。

 農水省に聞くと、

「中国政府は『8月24日から日本原産の水産物(食用水生動物を含む)の輸入を全面停止する』としているだけで、細かく品目を指定しているわけではありません。香港の場合は、10の都県に限定し、食品について規制するとしているので、真珠が対象外であることがはっきりしていましたが、そこから中国大陸に輸出できるのかについては、目下、情報収集を急いでいるところです」(輸出・国際局の担当者)

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