ヘンリー王子の“暴露”はいつまで続くか 米国でも見えたウィリアム皇太子との差
ヘンリー王子とメーガン妃夫妻が“王室批判”を始めて早数年、英国での支持率は下がり続け、移住先の米国からも悪評が聞こえてくるようになってしまった。一方、ヘンリー王子との不仲が囁かれる実兄・ウィリアム皇太子は、英国での支持率が高止まりしている。ヘンリー王子の移住先である米国でも、どうやら同じ状況になりつつあるようだ。
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「言うべきことは言う」王子だったウィリアム皇太子
ウィリアム皇太子とヘンリー王子は、未来の国王とその「スペア」という微妙な関係性があるものの、以前は仲良し兄弟として評判だった。本格的な不仲に陥ったきっかけはメーガン妃の登場だ。ヘンリー王子は今年1月に出版した自叙伝『SPARE』で、メーガン妃をめぐってウィリアム皇太子と口論になり、暴力をふるわれたと暴露した。
時には暴露話もするヘンリー王子夫妻の“王室批判”に対し、英王室は「決して文句を言わない、説明しない」のポリシーを貫いている。いわば言われっぱなしの形だが、王子だった頃のウィリアム皇太子は違っていた。
たとえば、ヘンリー王子夫妻が「英王室に人種差別的発言をした人物がいる」と暴露した際に、「私たちは断じて人種差別主義者の家族ではありません」と答えたことがある。公務中、記者が離れた場所から投げた質問に返答するという珍しい出来事だった。また、ダイアナ妃のインタビューをめぐるBBCの不正事件では、怒りに満ちたビデオコメントで英国民を驚かせたこともあるが、近頃はそうした反応をすることはない。
今年初め、PRの専門家は英保守系メディア「GBニュース」に対し、ヘンリー王子夫妻についての発言を避ける英王室には「君主制のイメージを損なう可能性のある公衆の面前での亀裂や論争の回避」という「明確な目的」があると改めて語った。さらにそうすることで、個人的な問題がエスカレートして夫妻の評判が傷つくことを防ぐ効果もあるという。
「米国統一の役割を果たす最有力候補」との見方も
王子だった頃から気さくで評判だったウィリアム皇太子は、今も歓談中に爆笑する姿を見せるなど、持ち前の明るさや華やかさがさらに際立っている。垣間見える人間臭さを魅力に変える力は、母のダイアナ妃を彷彿とさせるだろう。ダイアナ妃の人気が高い米国にもその魅力は伝わっているようだ。
米国の世論調査・コンサル企業ギャラップ社が8月に発表した世論調査の結果によると、国際ニュースに登場する公人15人のうち米国内の支持率1位はウィリアム皇太子(59%)だった。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領(57%、2位)や父のチャールズ国王(46%、4位)、米国のジョー・バイデン大統領、ドナルド・トランプ前大統領(共に41%、6位)を押さえてのトップ獲得である。男女別ではやはり、ダイアナ妃の思い出を共有する年配女性からの支持率が特に高かった。
共和党と民主党の間の溝が深まる米国では、社会の分断にも拍車がかかっている。だがこの調査では、ウィリアム皇太子を支持した共和党員が65%、民主党員が63%と、両党から等しく支持される公人であることも判明した。結果を受けてギャラップ社は「米国統一の役割を果たす最有力候補として浮上した」と分析している。
両党からの支持はチャールズ国王も同様で、共和党員が50%、民主党員が49%だった。他の公人の数字は大なり小なりどちらかに偏っており、ほぼ均等はチャールズ国王とウィリアム皇太子だけである。英国と米国は歴史的にも密な関係だが、英王室への評価がここまで高まる状況は珍しい。ギャラップ社も「かつて英国の王政から逃れた米国独立宣言の署名者たちはこの結果に驚くだろう」としている。
15人の公人にヘンリー王子とメーガン妃の名前はないが、夫妻と米国政治に関する話題は豊富である。たとえば2020年9月、ビデオメッセージで米大統領選への投票を呼び掛けた一件は有名だ。英王室は政治的に中立が基本のため、いくら王室を離脱しても政治介入にあたると批判を受けた。メーガン妃が政界入りを狙っているという噂も絶えない。
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