女子の勢い増す米ゴルフ界 男子ツアー参戦のトンプソンは78年ぶりの予選通過なるか

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男女混合のチーム戦が復活

 ところで、トンプソンのパワーヒッターぶりが男子選手たちを驚嘆させたエキシビション大会QBEシュートアウトと入れ替わる形で、今年からはPGAツアーとLPGAのコラボレーションによる男女混合のチーム戦「グラントソントン・インビテーショナル」が新設される。

 米ゴルフ界では1960年以来、男女混合チーム戦が約40年の長きにわたって開催され、多くのファンに愛されていた。

 タイトル・スポンサーは3度変更され、1985年からは「JCペニー・クラシック」という大会名で開催されていた。だが、ジョン・デーリー(57)&ローラ・デービース(60)組が優勝した1999年を最後に同大会は姿を消し、以後、男女混合のチーム戦は一度も開催されないまま歳月が流れた。

 しかし、昨年12月のQBEシュートアウトに参加したトンプソンやネリー・コルダのパワフルなゴルフが、一緒にプレーしたマックス・ホマ(32)やトニー・フィナウ(34)といった男子選手たちから大好評を博したおかげで、今年、24年ぶりに男女混合のチーム戦が復活することになった。

 PGAツアーのジェイ・モナハン会長(53)は「男女ミックスのチーム戦を創設することは、ここ数年の最優先課題だった。LPGAとパートナーシップを組み、一流のエンタテイメントを大勢のファンに披露することがとても楽しみだ」と語っている。

 LPGAのモリー・マクー・サマーン会長は「この大会創設は、ゴルフというゲームにとっても、女性のゴルフにとっても、重要なステップになるはず。PGAツアーとグラントソントンのリーダーシップに感謝している」と絶賛している。

スポンサーに日本由来の2企業

 グラントソントンは監査や税務のアドバイザリー・サービスなどを手がける国際的な会計事務所だ。ゴルフとの結びつきはきわめて強く、リッキー・ファウラー(34)をはじめ、トニー・フィナウやコルダ姉妹、キャメロン・チャンプ(28)といった男女双方の多数のスター選手をスポンサードしている。

 興味深いのは、タイトル・スポンサーであるグラントソントンの下で、サブ・スポンサーとしてこの大会をサポートする企業が18社も名を連ねており、その中に日本由来の企業が2社も含まれているという点だ。

 1つは老舗酒造メーカーの「白鶴酒造」。もう1つは日本人女性がロサンゼルスで創設した新進和菓子メーカーの「MISAKY TOKYO(ミサキ・トウキョウ)」だ。

 米ゴルフ界で女子選手の台頭と活躍が目覚ましく人気を取り戻しつつある現象、そして男女ゴルフ界が手を取り合ってともに発展を目指す現象にしっかり目を付け、エールを送っている中に、日本企業の存在があることはうれしいことである。日本のゴルフ界にとっても大いに参考になる現象ではないだろうか。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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