虚偽の話をしている者がいる…ジャニーズ事務所がまさかのちゃぶ台返し 法曹家も「なぜあんな声明を出したのか理解に苦しむ」

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事実認定の謎

 この声明には多数の疑問の声が寄せられている。ジャニーズ事務所は不思議なことに、証言内容は事実だと認めつつも、証言者は偽者だと指摘。つまり「なりすました被害者」がいると示唆したわけだ。

 そこまで断言するからには、詳細な調査を行い、確たる証拠を得ていると考えるのが自然だろう。だが、なぜ「なりすまし」が判明したのか、その根拠を声明が示すことはなかった。

 そもそも性被害の実態を調査する難しさは、以前から専門家が指摘していた。ジャニーズ事務所は5月26日に「外部専門家による再発防止特別チーム」の結成を発表。座長は前検事総長の林眞琴弁護士が就任した。

 特別チームは8月29日に調査報告書を公表し、その中に次のような一節がある。

《本件性加害が密室で行われており客観的証拠が残りにくい性質のものである上、加害者のジャニー氏が亡くなっていることを考えると、被害者の側に性加害の事実認定について法律上の厳格な証明を求めるべきではない》

《厳格な証明を求めるべきではない》と提言されたにもかかわらず、声明では《虚偽の話をされているケースが複数ある》と事実関係を精査する姿勢を見せた。まさに《密室で行われ》、《客観的証拠が残りにくい》はずなのに、どうやって《虚偽の話》と判断したのだろう。

《法を超えた救済》との矛盾

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、調査報告書に《法律上の厳格な証明を求めるべきではない》と明記されていたことを重視する。

「ジャニーズ事務所は会見でも《法を超えた救済》を行うとの考えを明らかにしました。ジャニーズと縁もゆかりもない男性が被害を訴えてきたのなら、補償の対象から外すべきであることは言うまでもありません。しかし、特別チームは被害者の救済を最優先に位置づけ、事務所への在籍など基本的な事実関係が認められたら、性被害に関する厳密な事実調査は行わず、速やかに適切な補償を行うべきだと提言したのです。特別チームの提言をジャニーズ事務所は受け止めたと思っていたので、声明が正反対の内容を含んでいたことに私も驚きました」

 特別チームに調査を依頼したのは他ならぬジャニーズ事務所だ。ところが、ジャニーズがチームの提言と矛盾した行動を取ることは珍しくない。

 デイリー新潮が8月15日に配信した「いまだジャニーズ性加害問題は解決しない中…『24時間テレビ』のポスターが物議を醸しているワケ」の記事から、経緯を振り返ってみよう。

 元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏が、日本外国特派員協会でジャニー氏から性暴力を受けた過去を公表したのは4月12日。

 その5日後の4月17日、なにわ男子が「24時間テレビ46 愛は地球を救う」(日本テレビ)のメインパーソナリティを務めることが発表された。

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