【医師会ベッタリ大臣】武見敬三厚労相が「政治資金パーティー」の“隠蔽”で約5700万円の荒稼ぎ 利益率86%の“脱法的錬金術”とは

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3年間で5600万円の献金

 コロナとインフルエンザが大流行する中、ジェネリック医薬品などの「薬」不足で、全国の病院からSOSが発せられている。しかし、日本医師会から送り込まれた武見敬三厚生労働大臣(71)は、国民の窮状をよそにカネと票を脱法的に集めるばかりなのだ……。

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 医師会お抱え議員として初入閣した武見厚労相は、日本医師会の政治団体である日本医師連盟(日医連)から多額の献金を受け取っており、パーティー券購入代も合わせると、その総額は過去3年で約5600万円。つまり、医師会ベッタリ議員が厚労相を務めているわけだ。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏によれば、

「武見さんが厚労大臣になったことは疑念を抱かせる人事ですね。医師会は診療報酬を巡って厚労省に要望を出し、時には争うこともある。その大臣が医師会寄りでは要望を簡単にのんでしまう可能性があります。あまりに露骨すぎる人事ではないでしょうか」

 しかも、武見氏にはカネの問題がついて回る。

「武見さんはしょっちゅう政治資金パーティーをやって多くのパー券を日医連や各都道府県の医師連盟に買ってもらっていますからね」

 とは所属する麻生派の関係者。

 武見氏の資金管理団体である「敬人会」の政治資金収支報告書をチェックすると、コロナ禍前まで、おおむね年に4回ほどパーティーを開いていることが分かる。

 例えば、2018年には「敬人会 夕食勉強会」「武見セミナー」という政治資金パーティーを年4回開催し、約6500万円の収入を得ている。パー券の大口購入者となっているのは、日医連、東京都医師政治連盟などだ。

利益率は86%

 ところが、コロナ禍だった21年の「敬人会」の報告書には「敬人会勉強会」「武見セミナー」などが“事業”として都内のホテルで開かれ、計約5740万円の収入が計上されているにもかかわらず、それが「政治資金パーティー」である旨が書かれていないのだ。

「当時、コロナ禍で政治資金パーティーが開けず、国会議員はみな困っていました。というのも、政治資金規正法上、オンラインではパーティーを開けないからです」(伊藤氏)

 そこで、武見氏は一計を案じ、政治資金パーティーの代わりとして「動画配信事業」を行った。パーティーと同じ2万円の会費を取り、医療関係者との対談をオンラインで配信。それをDVDにして参加者に配るというものだった。例えば、21年3月に行われた勉強会では東京都医師会長である尾崎治夫氏と対談を行っている。この場合、収支については政治資金収支報告書に政治資金パーティーではなく、「その他の事業」として記載する。

 ところが、パーティーとは違って飲食を伴わないため、この事業の経費はかなり低く抑えられ、結果的にパーティーよりも高い利益率を示しているのだ。

 21年の4回の事業では高いときで1500万円超、低いときでも1000万円弱の利益が出ており、平均利益率は約86%。

「これでは政治資金パーティーではないとはいえません」

 とあきれるのは神戸学院大学の上脇博之教授。

「本来、政治資金パーティーとは収入から経費を差し引いて、残った額を政治活動にあてるという主旨の催しです。よって高い収益が上がっている21年の武見氏の『勉強会』や『セミナー』はすべて政治資金パーティーだといえる。武見氏は総務省の『オンラインでは政治資金パーティーを開催できない』という見解に反するパーティーを催していることになるのです」

 いわば、別の政治資金パーティーの“隠蔽(いんぺい)”だ。ただ、仮にこの催しがパーティーではない「事業」として成立するとしても、別の問題が出てくる。

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