【竜王戦第1局】小学3年生の藤井聡太を泣かせた伊藤匠が敗れる 3年前に語っていたライバル心とは

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「半額」がキーワード

 伊藤は奨励会の三段の頃、「プロ入りを果たしたら半額を返す」との約束で将棋研究のため高価なパソコンを父親に買ってもらったという。

 恩師の宮田八段には冗談なのか、「竜王戦で優勝して、賞金を半分、師匠に返すのが恩返し」と言われているというから、どうも「半額」が伊藤のキーワードかもしれない。さらに、恩師の故郷・秋田県大曲市(現・大仙市)のため、伊藤は「秋田県で行われる第6局まではなんとか頑張りたい」と話している。これで公式戦での2人の勝敗は藤井の3勝となった。

 今後、伊藤が藤井の最強のライバルとして末永く対局を重ねてくれるか、待ち望んだ同世代のライバルの登場である。第2局(10月16日、17日、京都府京都市の仁和寺)からの反撃なるか。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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