初恋の人と偶然再会、調子に乗って不倫関係を続けた末に… 42歳夫が巻き込まれた愛人の恐ろしすぎる復讐計画とは
前編【初デートの翌日、父親と共に夜逃げした初恋の人 42歳男性が喪失感を抱えたまま出会った妻と、後に判明するまさかの関係】からのつづき
日笠隆平さん(42歳・仮名=以下同)の初恋の相手は、中学時代の同級生。隣市の繁華街まで行ったのが唯一のデートだった。その日、2人を駅まで送迎した彼女の父は「娘をよろしく」と満面の笑みで送り出してくれた。ところが翌日、彼女と音信不通に。父の借金が理由で夜逃げをしたのだという。喪失感を抱えたまま青春時代を過ごした隆平さんだったが、大学でふたつ年下の里奈さんと出会い、結婚。親が離婚している里奈さんは、あまり過去を語りたがらなかった。
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結婚生活は、すんなりと始まった。お互いにひとり暮らしが長いから生活のペースが合わないのではないか、どこまですりあわせていけるのかと危惧していたが、実際にはコミュニケーションさえとっていれば、不安を覚える必要はなかった。
「今日は早いから晩飯作っておくよとか、今日は待ち合わせようとか、洗濯やっておいたよとか、一言声をかけるだけで誤解やすれ違いはほとんどなかった。楽しく暮らしたいからルールなんて作らなかったけど、遅くなるときは連絡するのが同居している人への礼儀だとお互いに思っていれば何の問題も起こらなかった」
2年後には長男が生まれた。隆平さんと里奈さんは競うようにして子どもをかわいがった。息子が歩けるようになると、ふたりは息子を挟んで手をつないで並んで歩いた。ふと妻を見ると、彼女は笑いながら泣いていた。
「これがしたかった。ううん、本当はしてほしかった。両親はずっと不仲だったから、してもらったことがないんだって里奈が泣いていたんです。思わずもらい泣きしてしまいました。僕だって決して家庭のあたたかさを信じて生きていたわけじゃないから」
この話には続きがある。息子が4歳くらいのとき、「ママが真ん中」と言いだし、男ふたりで里奈さんと手をつないで歩いたのだそうだ。よちよち歩きの息子が、あのときの母親の涙を理解するはずも、記憶しているはずもないのだが、そうしたのは事実だった。そしてこのとき里奈さんは以前より激しく泣いた。
「ママ、どうしたのと息子が言うと、『あんまりうれしくて涙が出てきちゃった』と里奈が息子を抱きしめたんです。僕も結婚してよかったとつくづく思った瞬間でした」
共働きで忙しかったものの、ふたりは子どもを中心に生活を楽しんでいた。隆平さんも仕事と家庭が充実しているのがうれしかったし、それ以上は望まなかった。
“初恋の相手”との再会
コロナ禍になり、息子が休校になったり夫婦が在宅ワークになったりもしたが、隆平さんは「家族が一緒にいられる時間がとれてよかったと思うくらいだった」という。
だが、そんな日々は長く続かず、毎日出社する慌ただしい日々が戻ってきた。隆平さんの職場もさまざまなことが見直され、彼は異動となった。異動先は多忙な部署で、今後、会社がいちばん力を入れる事業を扱う場だった。
「僕はそんな忙しい部署じゃなくてよかったんだけど、会社員である以上、そうも言えないし。里奈は『がんばって働いて出世してよね』と笑っていました。忙しくてもなるべく家で食事をしたいし、息子とゲームをして遊ぶ時間もほしい。週末は家族でどこかに行きたい。やっぱり比重は家庭にありましたね」
新部署には新しく派遣でやってきた人たちも多かった。その中のひとりがアシスタントについてくれると紹介されたとき、彼は「え!」と大声を上げてしまった。中学生のときの初恋の相手、デートした聡美さんだったからだ。
「あとから考えたら、聡美は僕ほどびっくりしていなかった。でも僕は何も気づかず、ただ懐かしくて……。だって25年ぶりくらいだったんですから。ただ、彼女、雰囲気が変わっていました。ちょっと近寄りがたいような感じだった」
仕事が終わってからお茶や食事に誘っても「忙しいから、ごめんなさい」と断られてしまう。それでも仕事には懸命に取り組んでいた。
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