初デートの翌日、父親と共に夜逃げした初恋の人 42歳男性が喪失感を抱えたまま出会った妻と、後に判明するまさかの関係

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里奈さんとの出会い

 埋められない喪失感を抱えたまま、彼は東京の大学を受験した。第一希望には入れなかったが、第二希望の私大へ進学し、それなりに楽しい学生生活を送った。

「仕送りはなかったから、生活費を稼ぎつつ、親の出してくれた学費を無駄にしないよう勉強もがんばりました。家庭教師、引っ越し屋、賄い付きの深夜の居酒屋など、少しでも割りのいいバイトをしていたけど、若いころは何でも楽しめますね」

 そのころ居酒屋のバイトで知り合ったのが、のちに妻となった里奈さんだ。ふたつ年下の里奈さんも大学生で、彼が就職活動で一喜一憂していたとき、いつもそばにいて話を聞いてくれた。当時はつきあっているわけではなかったが、いちばん話しやすい女友だちだった。

「当時は里奈にも僕にも恋人がいたんです。でも就職先が決まったとき、いちばん最初に伝えたのは里奈でした。恋人は同い年でまだ就職が決まっていなかったから言いづらかった。結局、恋人は就職できず、親の紹介で実家から通える企業に就職すると言って、故郷に帰っていきました。『ひきとめてくれないの?』と言われたけど、それって結婚に直結する話だから、僕は引いてしまった」

 2年後、里奈さんが就活を始めたが、彼女は厳しい就職戦線をあっけなく突破した。成績優秀だったことにくわえて、彼女はボランティアサークルでの着実な活動が評価されたのだ。隆平さんは、最初、里奈さんがボランティアをしていることさえ知らなかった。

「学内で小さなサークルを立ち上げ、ひとり親家庭の子どもたちのためにイベントをしたり勉強を教えたりしていたそうです。それを知ったときは、そういう人だったのかと少し驚きました。ふだんの彼女はごく普通の明るい女の子で、けっこう適当なところもあったから」

「結婚を前提に」というと…

 彼女が就職して一段落したところで、ようやく隆平さんは「つきあってほしい」と告白した。里奈さんは「私も隆ちゃんのことは好きだけど、友だち関係のほうがいいのかもしれないと思うこともある」と言った。だが隆平さんにとって、里奈さんのいない日々は考えられなかった。

「だから結婚を前提にと言ったんです。友だち関係をベースにしてこのまま続けば、いずれ結婚になると思っていたから。すると彼女は『結婚したいから言ってるわけじゃないの。隆ちゃんが好きだから一生つきあっていきたい。それなら結婚という形じゃなくてもいいのかもしれないと思っちゃって』と。今思えば彼女の考えは深かった。でも当時の僕は、好きだからつきあって結婚する、と一直線でしか考えられなかったんです」

 その後、隆平さんが遠方に転勤になり、遠距離恋愛期間が3年もあった。この期間にお互いへの気持ちは熟成していったという。

「月に1回くらいしか会えない状態が続いて、これじゃつきあっているとは言えないなと思ったけど、連絡だけは密にとっていたし、会えたらうれしくてたまらない。遠距離恋愛期間に、彼女とは初めて男女の関係になりました。友だちとしてつきあって3,4年たっていました」

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