「ビッグモーター」不当解雇訴訟 原告男性が「あの会社はこれからも変わらない」と語る理由 和解成立の裏にあった「カネは払うが謝罪は拒否」「“退職強要”上司昇進」の仰天事実

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不当解雇を迫った上司は「昇進」

 一方で原告男性が和解について前向きに捉え直す、ある心境の変化もあったという。

「裁判を通じて確信したのは、保身のためには平気で“黒を白”と言い張るなど、ビッグモーターのモラルに欠けた企業風土は“この先も変わらないだろう”という思いでした。だから自分の人生をやり直すため、和解がビッグモーターと完全に縁を切る節目になると考えた部分もありました」(原告)

 実際、ビッグモーターは今回の結果を受けても「まったく反省していない」と話すのは同社関係者である。

「訴状にも出てくる原告男性を解雇へと追い込んだ上司2人のうち、一人はいまも悠々と同じ職にとどまり、もう一人に至っては本部の次長職に昇進したと聞いています。2人の証言は一審で〈不自然、不合理〉で〈採用できない〉と却下されましたが、会社のために虚偽の証言をした“論功行賞だろう”と社内では囁かれている。パワハラまがいの言動を吐く管理職や顧客軽視の風潮はいまも存在しており、企業体質そのものは何も変わっていません」

 ビッグモーターに和解の理由や見解を訊ねると、和解の成立は認めたが、

「それ以上についての回答は差し控えさせていただきます」(同社広報部門)

 と回答。「不当解雇」の当事者である2人の上司の現在の役職などについても訊ねたが、

「特定の社員情報につきましては回答を差し控えさせていただきます」(同)

 と答えるにとどまった。

 生き残りをかけてオリックスなどに支援を求めるビッグモーターだが、果たして“火中の栗”を拾う奇特な企業など現れるのか。

デイリー新潮編集部

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