シーズン1位でも「日本シリーズ」に出場できず…不運に泣いた“悲劇の球団”
短期決戦の怖さ
セ・リーグは阪神、パ・リーグはオリックスがペナントレースを制したが、日本シリーズに進出するためには、10月18日から始まるクライマックスシリーズ・ファイナルステージを勝ち抜かなければならない。過去にはシーズンを制しながら、CSで敗退という不運に泣いたチームもあった。【久保田龍雄/ライター】
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2年続けて日本シリーズを逃したのが、プレーオフ時代のダイエー(翌年からソフトバンク)である。パ・リーグにプレーオフが導入された2004年、王貞治監督率いるダイエーは、松中信彦が21世紀初の三冠王に輝くなど、リーグトップのチーム打率.292の強力打線を売りに、7月後半以降、首位を独走。2位・西武に4.5ゲーム差の1位でシーズンを終えた。
だが、不安材料もあった。西武との直接対決で11勝14敗と負け越し、前年リーグトップのチーム防御率も4位に転落。加えて、2位に5ゲーム差以上の場合に与えられる1勝分のアドバンテージが、わずか0.5差で付かなかったのも痛かった。
第1ステージで日本ハムを2勝1敗で下した西武を迎え撃った第2ステージ。ダイエーは第1戦こそ4本塁打の長打攻勢で9対3と大勝したが、第2戦で松坂大輔に抑えられ、1対11で完敗すると、流れが変わる。第3戦も5対6で連敗。
そして、2勝2敗のタイで迎えた第5戦も、9回に柴原洋のタイムリーで追いついたが、なおも2死二、三塁のサヨナラ機に松中が二ゴロに倒れ、延長10回の末、3対4で敗れ去った。シーズンでは打率.407、9本塁打と西武に強かった松中が、プレーオフでは19打数2安打と不発に終わったのも、短期決戦の怖さと言えるだろう。
「ウチはシーズン以下だった」と王監督
「来年はこの悔しさをお返しする」と雪辱を誓った王監督だったが、2位・ロッテに4.5ゲーム差をつけてシーズン1位となった翌05年も、プレーオフが“鬼門”となる。
第1戦、2戦といずれも先手を取りながら、ロッテに連敗。第3戦も8回まで0対4とリードされ、敗色濃厚だったが、9回に守護神・小林雅英を攻略して一挙同点とすると、延長10回、川崎宗則のサヨナラタイムリーでようやく一矢報いた。
この劇的勝利で流れを引き寄せたソフトバンクは第4戦も3対2で制し、2勝2敗のタイに。第5戦も7回まで2対1とリードし、そのまま逃げ切るかに思われたが、8回、代打・初芝清の三遊間へのゴロの捕球の際にバティスタと川崎が交錯して倒れ込むアクシデントをきっかけに、2対3の逆転負け……。
すでに引退を決め、「17年間1度も優勝を経験しないまま終わりたくない」という初芝の思いが天に届いたような土壇場でのどんでん返しに、王監督も「シーズン以上の戦いをしたロッテに対し、ウチはシーズン以下だった」とガックリ肩を落とした。
2年続けてシーズンで頑張ったことが報われないという皮肉な結果を受けて、翌06年は、シーズン1位のチームに、ゲーム差に関係なくアドバンテージが与えられることになった。
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