発売1週間で完売 中高年を夢中にさせる「8マンVSサイボーグ009」が実現した理由

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発売1週間で完売!

 この夏、発売1週間で完売し、増刷になった漫画本がある。それが、決して若者向けでも「ジャンプ」系でもない、強いていえば“シニア向け”の漫画だけに、一部で驚きの声があがった。

「私は今年で65歳になりますが、まさかこの歳になって、このような作品に出会えるとは夢にも思いませんでした。笑われるかもしれませんが、生きていてよかったと本心から思える、素晴らしい漫画でした」

 と照れながら語るのは、元編集者で“なつ漫”(むかしの懐かし漫画)ファンのAさんである。

 その作品とは、『8マンVSサイボーグ009 上・下』(チャンピオン・レッド・コミックス/秋田書店刊)。著者は「原作:平井和正・桑田二郎・石ノ森章太郎」「脚本:七月鏡一」「作画:早瀬マサト・石森プロ」。書名でおわかりのように、往年のヒーロー、8マンとサイボーグ009が“競演”する漫画である。65歳のAさんが、小学生のころに夢中になったキャラクターだ。

 しかし、近年、この種の“競演”作品は、アメコミにおける「ジャスティス・リーグ」や「アベンジャーズ」、日本でも「仮面ライダー大戦」や、「大決戦!超ウルトラ8兄弟」などがあったように、いまや珍しいものではなくなっている。

 しかもそれらは、あくまで同一作者(権利所有者)内によるキャラクターの競演だった。それに対し、「8マン」と「サイボーグ009」では、作者も世界観も絵柄も設定も、すべて違うのだ。そもそも作者は全員、鬼籍に入っている。それを競演させるとなると、かなり無理があるのではないか。まったく新たな物語を、いま風の絵柄に変えて強引につくられたのでは……?

「私も最初はそう思って、おそるおそるページをめくりました。ところが、唖然呆然とはこのことです。まず絵柄は、むかしのまま。世界観や物語も、両作品の基本設定からそのままつながっており、それでいてまったく違和感がないのです」(Aさん)

 かくしてAさんの口角泡を飛ばしての大絶賛がつづくのだが……。その前に、いまの若い方には、これらキャラクターの名前しか知らないという方も多いだろう。まずは簡単に基本解説を。

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