「高血圧」「糖尿病」「脂質異常」予防可能性10倍以上の歩行量とは? 20年以上の研究で明らかに
ようやく朝晩涼しくなってきた。秋の到来である。酷暑のもとではどうしても腰が重くなったが、爽やかな風に吹かれての運動は格別。しかし、そこに問題が立ちはだかる。どんな運動が良いのだろうか……。答えはいたってシンプルだ。「歩行」こそが万病を防ぐ!【青柳幸利/東京都健康長寿医療センター研究所・元運動科学研究室長】
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体を適度に動かして酸素を消費する。「運動」が健康に寄与することは誰もが知っている常識といえるでしょう。ゆえに、多くの人が健康のためを考えて体を動かそうとする。しかし、それを思いとどまらせる大きな障害が存在します。
一体どれだけ体を動かせば健康になれるのだろうか――。
「量」に限らず、どんな運動をすればいいのか「種類」が気になる人も多いのではないでしょうか。ジョギングがいいのか、筋トレをすべきなのか、それともテニスなどのスポーツで汗を流すのがいいのか。難しく考え始めると、体を動かす前に頭が疲れてしまいそうです。
何歩歩けばいい?の結論
そこで、健康・スポーツ科学を研究してきた私は、誰でも実践でき、生涯続けられる「運動の共通の物差し」とでも言うべき基準を提示できないかと考えました。
特別でも特殊でもなく簡単にできる運動。そしてすべてのスポーツの“基本”となり、人間活動の“ベース”ともなる運動は何か……。
それは歩行です。
例えばテニスであれば、「歩行」に「ラケットを振る」という動作が加わったものと捉えることができ、また人間は1歳の頃から歩き始めますから、やはり歩行こそが“基本”であり“ベース”だといえます。
これで運動の「種類」の問題は解決しました。残るは「量」です。果たして、一体何歩歩けばいいのでしょうか。結論から申し上げましょう。
答えは1日「8千歩・20分」です。
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