コロナ禍で登録者が4割増…“スキマ稼ぎ”だけじゃない「ココナラ」に大企業が熱い視線を注ぐ理由

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プロフェッショナル人材のマッチングサービスも

 そう柳澤さんが説明するように、たとえば今この原稿を書いている私も、ココナラに自らを出品し、企業にスキルを提案していく必要に迫られるかもしれない。紙業界、ライター業界は斜陽だと悲観している暇があるなら、自分を選んでもらうための努力をした方がいい。ネット上に自分を“出店”する――そうした視座が必要な時代が目の前まで迫っている。

「今後は、非公開の場で、プロフェッショナル人材をマッチングする新しいサービスも開始予定です。実績のある方が企業とマッチングできる。そうした導線も作っていきたい」

 また、昨今は「ジョブ型雇用」の推進も活発化している。「ジョブ型雇用」とは、企業の必要な職務に応じて、職務を実行するために必要なスキルや経験などを持つ人材を採用する雇用方法だ。端的にいえば、ピンポイントかつ適材適所で人材をいかす雇用形態である。

 実は、こうした事例に対しても、ココナラのプレゼンスは大きくなっているという。

「抱えている仕事を、その人ひとりがすべてこなさなければいけない時代ではなくなってきているのかなと感じます。たとえば、ビーフンの製造・販売を行うケンミン食品さまは、資料作成をココナラで発注しています。“得意な方の力を借りることで、それぞれの担当がそれぞれの仕事に集中できるようになりました”という言葉をいただいています」

 各担当者が資料を作成する――そうしたイメージがあるだろうが、資料づくりは得手不得手がある。苦手な人が資料づくりにリソースを割くと、得意な分野を含めたその他の仕事に支障が出てしまう。こうした不得手な領域をココナラでカバーする、言わば「ジョブ型的な使い方をする」ことで効率化を図る企業が増えていると柳澤さんは話す。

「アウトソーシングが非常に身近になってきているように感じます。以前は、アウトソースしていることを知られたくないという企業さまが多かったのですが、コロナ禍によってがらっと変わった」

 好きなこと、得意なことで勝負することも大切だろう。しかし、これからは好きなこと、得意なことを上手に“切り出す”、ジョブ型の働き方という視点も必要になりそうだ。

我妻 弘崇(あづま ひろたか)
フリーライター。1980年生まれ。日本大学文理学部国文学科在学中に、東京NSC5期生として芸人活動を開始。約2年間の芸人活動ののち大学を中退し、いくつかの編集プロダクションを経てフリーライターに。現在は、雑誌・WEB媒体等で幅広い執筆活動を展開。著書に『お金のミライは僕たちが決める』『週末バックパッカー ビジネス力を鍛える弾丸海外旅行のすすめ』(ともに星海社)など。

デイリー新潮編集部

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