コロナ禍で登録者が4割増…“スキマ稼ぎ”だけじゃない「ココナラ」に大企業が熱い視線を注ぐ理由

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副業解禁と、在宅時間の増加がきっかけに

 イラストを描きます、動画を撮影します、楽曲制作をします――。日本最大級のスキルマーケット「ココナラ」は、現在、登録者数が400万人に迫るほど堅調だ。自分のスキルに加えて、転職を考えている人に転職経験のある人がアドバイスを提供するといった経験や知識を出品することができるのも強みだが、コロナ禍を経て利用者に変化が生じているという。【我妻弘崇/フリーライター】

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 2012年に創業したココナラは、個人間でのスキルマッチングを主力に成長を遂げてきた。イラストやデザイン、Webサイト制作、動画、ライティングといったスキルを提供するものから、悩み相談や恋愛相談など話し相手となるものまで、カテゴリーの数は450に及び、サービス出品数は70万件以上にのぼる。

 たとえば、都心でマンション購入を検討している場合、1000円ほどで経験者から体験談を教えてもらうといったことや、美味しい糠漬けの漬け方を教えます、嫁姑問題のお悩みにお答えしますといった、「こんなものまであるの!?」と目を丸くするようなものまでが集う。あなたの経験がお金に変わり、他の誰かの役にも立つ。副業やスキマ稼ぎの新しい提案として、ココナラは人気を博してきたが、ココナラ広報担当の柳澤芙美さんは、「コロナによって、ココナラの利用者に変化が生じた」と話す。

「副業解禁という大きな流れの中で、コロナ禍になりました。在宅時間が増えたことで、心理的な不安も重なり、ココナラに出品する方が急増しました」(柳澤さん、以下同)

 出品者の年齢層は、20代から40代が6割を占めるという。先行きが不透明だからこそ、自分のスキルをいかして何かできないか。そうした不安とも焦燥感ともつかない気持ちから、副業としてココナラを利用する人が増え、登録者数はコロナ禍以前と比較すると約40%も増加したという。また、「コロナ禍によってビジネス利用が逆転しました」と語るように、現在に至るまで個人以上に企業がココナラを利用するケースが多いと続ける。

「オンライン、リモートが定着したことで、サービスの在り方も変わりました。顧客との接点がよりデジタル化したことで、PR動画や商品の説明動画を作る必要に迫られた企業さまが増え、ココナラを利用し始めたという印象です」

メガバンクとタッグ

 ココナラでは、売買がマッチングすると、やり取りを行うトークルームが開設される。ビデオチャットで直接話すことも可能だが、直接会うことは禁止されている。勧誘などの可能性を防ぐためだ。以前であれば、リモートでのやり取りにハードルの高さを感じていた人も少なくないと思うが、コロナ禍によってリモートは当たり前になった。仕事のスタイルに変化が生じたことで、「ココナラを試してみよう」という企業は増えたそうだ。

「知らない人に初めて仕事を依頼することに不安を覚える企業さまもいらっしゃるのですが、半面、依頼してみると思いのほか便利でコストがかからないことに気が付くケースも多いです。“これもお願いできないか”ではないですが、継続利用される企業さまが目立ちます」

 ココナラは、2021年夏からロゴやパンフレット、Webページの作成・デザインなどに特化し、請求書払いなどの機能を搭載した企業向けのサービスを開始。今年9月には、みずほフィナンシャルグループとジョイントベンチャー「株式会社みずほココナラ」の設立に関して基本合意したと発表した。みずほ銀行が持つ顧客に対し、ココナラが有するプロ人材のスキルを活用するサービスを目指す――。今後は個人間だけではなく、個人と企業のスキルマッチングにも重点を置くというわけだ。

 ひるがえって、こうした変化は、副業やスキマ稼ぎによりプロフェッショナルな視点が必要とされるフェーズを迎えているとも言えるだろう。もちろん、あくまでスキマ稼ぎの範疇で自分のスキルを提供したい人は別だろうが、企業とマッチングできれば、その分収入も大きくなる。責任も重大だ。

「ココナラは集客力があるうえ、出品するだけなら無料ですから損はないと思います。自分のリアルなフィールド以外に、新たにネット上にフィールドを持つことが当たり前の時代になるのではないか」

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