脳にチップを埋め込み、コンピューターと人間を統合 イーロン・マスクの新ビジネス、専門家はどう見る?
それほど遠くない将来、人間は念じただけでパソコンを動かすことができるのだろうか。イーロン・マスク氏(52)がCEOを務める「ニューラリンク」社が、脳にコンピューターチップを埋め込む治験への参加募集を始めるとロイター通信等が報じたのは9月19日のこと。ニューラリンクは2016年に神経科学者らを集めて設立された会社で、コンピューターと脳を直接つないで情報のやり取りをする技術を開発している。
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「同社のホワイトペーパーによると、具体的にはブレイン・コンピューター・インターフェイス(BCI)と呼ばれる技術で丸いチップを大脳皮質に埋め込み、3千個以上の電極を神経回路につなぐとある。さらに同社はチップを埋め込む手術のためのロボットも開発したとあります」(科学担当記者)
人間とコンピューターの統合も視野に
動物を使った実験では2年前、神経チップを埋め込んだサルにビデオゲームを遊ばせる動画を公開しているが、今回、治験に踏み切るのは人間に応用するためだ。
「治験の対象は頸椎や脊髄損傷、あるいは筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんです。つまり、意識があるものの体が動かせない人がコンピューターのカーソルなどを動かして、意思表示できるようにする。また、脳の情報をリアルに把握できることから、いずれは、うつ病や統合失調症の治療にも応用したいとしています」(同)
治験は完了までに6年かかる予定だが、ニューラリンクは将来的に健常な人間とコンピューターの統合まで視野に入れているという。
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