ドラフト候補が「中日に行きたくない」のは本当か? 現場から聞こえた“意外な本音”
「チームに将来のビジョンはありますか」
来シーズンも立浪和義監督の続投が決まった中日。一時は借金が大台の30にまで膨らむなど、昨年と比べて厳しいシーズンとなったが、それ以上に立浪監督の采配と球団の体質を手厳しく非難する声が多かった。8月には立浪監督の一言で、試合前の食事会場から白米の提供がなくなかったことが「令和の米騒動」として大きく報じられ、8月25日のDeNA戦では近藤廉が1イニングで10失点を喫しながら、続投を命じられたことに対して批判的な意見があがった。【西尾典文/野球ライター】
【写真を見る】8月に54歳の誕生日を迎えた立浪監督。バースデーケーキを前にお茶目な笑顔をのぞかせていた
ただ、中日でこういった話題が出るのは、立浪監督の就任以前にもあったことは確かである。落合博満GMが就任した2013年オフには、契約更改で大幅なコストカットを実行。以後もその流れは続いており、2019年には高校卒のドラフト1位ルーキーの石川昂弥がいきなり年俸ダウンとなっている。
また、中継ぎで長年結果を残してきた祖父江大輔が、同年の契約更改でダウン提示を受けた際、加藤宏幸球団代表からは「継続的な登板数を評価して欲しいなら早くFAを取ってくださいというのうがこちらの主張」という発言も飛び出している。こうしたことが積み重なり、翌年の契約更改の席で福谷浩司から出た「チームに将来のビジョンはありますか」という質問が出て、球団代表が答えられないことも批判の的となった。
12球団の中で、“揉め事”が極めて多いというイメージは定着しており、立浪監督の就任以降、それが加速している印象は否めない。過去には、有望なドラフト候補の選手が、中日以外の球団に入団を希望するのではないかという噂もあったほどだった。
「打てばアピールができるのかなと思います」
では、実際にプロ入りを目指すアマチュア選手や、アマチュアチームの関係者は中日に対してどんな印象を持っているのだろうか。現場で取材してみると、以下のような声が聞かれた。
「ルーキーや若手の選手がどんどん使われていて、結果も残しているように見えます。若い選手が多いチームという印象です」(高校生野手)
「大野雄大選手や柳裕也選手、高橋宏斗選手など、いいピッチャーが多いイメージが強いです。打線が弱いと言われていますが、自分はピッチャーなので、本拠地(バンテリンドーム)で、ホームランが出づらいことは、有利な環境なのかなと思います」(大学生投手)
「自分の中では中日と言えば、(以前に所属していた)谷繫元信さんや荒木雅博さん、井端弘和さんといった守備が上手い選手のイメージが強いです。逆に、今は打てなくて苦しんでいるので、打てばアピールができるのかなと思います」(大学生野手)
10月26日のドラフト会議本番を控えているだけに、なかなか本音では話しづらい時期であることは否定できないが、球団に対して、ネガティブな意見は聞かれなかった。立浪監督のイメージについて聞いても、「正直よく分からない」という声が多く、批判的な報道を、そこまで気にしている選手も見当たらなかった。
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