総額5000万円以上を騙し取った「結婚詐欺師」が、被害女性に「ショートヘアが好き」と囁いた理由

国内 社会

  • ブックマーク

これ以上被害者が出ないよう、被害者がブログで情報発信

 数年が経ち、前田被告は福岡での寸借詐欺で全国に指名手配される。ところが、その時期に警察は前田被告を逃してしまい、さらに被害が拡大していったとAさんは言う。

「別の被害者が、警察に相談に行ったんです。私がブログで注意喚起している記事をプリントして持参し“この男に騙されている”と伝えたそうなのですが、警察はなんと前田本人に“お話聞きたいんでちょっと来てもらえませんか”と電話をかけてしまった。そんなの逃げるに決まってるじゃないですか。しかも、その時に相談を受けた刑事は指名手配にもなっていることを把握していなかったんだそうです。その被害者さんの身の安全を考えての事だとは思いますが、そこでうまく捕まえてくれていたら、後の被害者が生まれなかったはずなのに……」

 こうして警察は、一度逃してしまった前田被告を2022年に大阪でようやく確保。逮捕後の前田被告は、Aさんに対する詐欺について、金を騙し取ったことを認めた。だが、事件として扱われることはなかったという。

「警察は私に“金を渡すときの記録が残っていたら証拠になった”などと言うんです。そうなったら、銀行振り込みにするか、防犯カメラのある場所で金を渡すしかありませんよね。本人は騙したことを認めているのに、事件化できないということに本当にがっかりしました」

 騙されたと分かってすぐ、Aさんは被害を家族に打ち明けた。「家族は笑い飛ばしてくれて本当に心が軽くなった」という。ブログは現在、休止している。

次ページ:誰とデートしても「同じ場所で、同じ映画を見る」

前へ 1 2 3 4 次へ

[3/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。