新庄劇場シーズン3の秘密兵器に 台湾の至宝・18歳「孫易磊」を日ハムが獲得した全内幕
「台湾の至宝」が入団
しかし、来季の「新庄劇場シーズン3」の見どころは成長だけではない。台湾の新スター候補も加わった。
「入団会見は10月16日、台北市内のホテルで行われる予定です」(アマチュア野球担当記者)
台湾・中國文化大学の18歳右腕、スン・イーレイ(孫易磊)との契約が合意に達したのだ。球団が正式に発表したのは9月29日だったが、稲葉篤紀ゼネラルマネジャー(51)が、8月31日から始まったU-18大会の会場である台湾・台北市に出向いていた。さらに、現地メディアに「日本ハム球団がスンを視察にきた」ことをアピールしていたのだ。
「U-18の決勝戦が行われたのは9月10日。同日の野球ニュースは日本代表チームの優勝と、『スン・イーレイは日本ハム入団』でした。この時点で、現地では入団が決定したと、断定調に伝えられていました」(前出・同)
スン・イーレイは「台湾の至宝」とも呼ばれ、最速156キロの剛球で、日本代表を苦しめた。また、同大会はメジャーリーグのスカウトも視察しており、「右のナンバー1はスン・イーレイ、左は日本の前田悠伍(大阪桐蔭3年)」と評されていた。日本チームを指揮した馬淵史郎監督(67)も、スンには一目を置いていた。
「前田は今秋のドラフト1位候補です。その前田と互角に投げ合ったスン・イーレイを獲ったわけですから、今年の日本ハムは、10月26日のドラフトと合わせ、ドラ1クラスの選手を2人、獲得できたとも解釈できます。スン自身も、メジャーを視野に入れているのか、ダルビッシュ有(37)や大谷翔平(29)を育てた日本ハムでやりたいと考えていたようです」(前出・同)
スン・イーレイが日本ハムと合意した理由は他にもいくつかある。まず、パ・リーグの試合が台湾でも中継されていたこと。そして過去、日本ハムには台湾のスター選手である陽岱鋼(36、現・米独立リーグ)が在籍していた。さらに現在、台湾プロ野球界で2年連続4割をマークした人気選手、王柏融(30)もいる。そこに加えて、東京五輪で日本代表チームを金メダルに導いた稲葉GMが「わざわざ見に来てくれた」ということで、スンは感激していたそうだ。
「稲葉GMの台湾入りの目的は、台湾プロ野球・富邦の好右腕、ツェン・ジュンユエ(曾峻岳、21)とスン・イーレイの視察でした。ツェンはWBCにも出場したクローザーですが、球団との契約があって獲得できるのかどうか分かりません。日本ハムもそのへんはリサーチしていたはずなので、スン・イーレイの視察がいちばんの目的でしょう。それと、新庄監督は台湾でも人気があります。良い意味で野球選手らしくなく、スマートでカッコイイと。スン・イーレイの将来性は新庄監督次第だと思います」(球団関係者)
投手の練習を本格的に始めたのは今年の春だというスン。半年と置かないで代表レベルまで成長したのは驚きだが、牽制、セットポジションでの間の作り方、バント処理などの守備はこれからで、日本ハムはあえて育成契約からスタートさせることにした。しかし、郡司を二塁手デビューさせた新庄監督のことだ。「一目惚れするくらいのボールを投げている」と絶賛しており、直ぐに一軍抜てきの可能性は十分にある。
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