44年ぶりにジャニーズのいない紅白に? 「嵐」「TOKIO」を擁護する企業、自治体の言い分とは

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「スポンサーという立場」

 先月22日、嵐の相葉雅紀(40)が、ハウスメーカー「AQ Group」の新CMに起用されることが発表された。ジャニーズにとっては前回の会見後、初の新規契約となり、世間からは厳しい批判が湧き起こった。

「社内からも“多くの企業に倣って、リスクを取るべきではない”“起用を見送るべきだ”との声が多く聞かれたのは事実です」

 そう明かすのは、「AQ Group」代表取締役社長の宮沢俊哉氏(64)だ。

「大前提として、我が社はジャニー喜多川氏が行った性加害を断じて許しませんし、今後も被害者の救済および再発防止を強く求めていく姿勢は変わりません。そうした声をジャニーズ事務所に伝えるためには、契約を打ち切って関係を終わりにするのではなく、スポンサーという立場の方がより効果的だと考えて、この社会的問題に向き合っていくことにしました。現在に至るまで事務所にも要望書を出していますし、その後の対応次第では起用の中断もあり得ます」

 当初は会社に抗議もあったが、そうした姿勢が理解され、応援の声が多く寄せられているという。

「右にならえ」に違和感

 先月28日には、関西経済同友会の代表幹事を務める宮部義幸・パナソニックホールディングス副社長(65)が、

「問題への責任がないタレント個人の活動は制限すべきではない」

 と発言し、一律にジャニーズとの契約を見直す財界に釘を刺してもいる。

 公的機関では福島県が騒動後もTOKIOと広報活動などで連携を継続するとして、内堀雅雄知事自ら「原発事故など一番苦しい時に、TOKIOが“家族”のように風評払拭などを行ってくれたことを踏まえた県民の思いもある」と発言した。

 ジャニーズというだけで腫れ物扱いの風潮を、当の被害者はどう見ているのか。

「ジャニーズ性加害問題当事者の会」代表の平本淳也氏に聞くと、

「企業も一連の性加害について何らかのことは耳にしながら利益を得ていたわけです。そうした責任をタレントとの契約を打ち切ることで放棄しないでほしい。多くの企業が日本人的な右にならえの姿勢でタレントを切り捨てたことに違和感を持っています。私たちの会としても『スポンサー企業が取引を直ちに停止することを希望するものではない』とする要請書を出していますが、相葉さんを起用した会社のように、まずは企業がタレントに対して、きちんと人間として向き合ってほしい」

 日本の芸能史上、前例のない巨大帝国の崩壊。行く末はあまりに多難だ。

週刊新潮 2023年10月12日号掲載

特集「44年ぶり『紅白ゼロ』!? 『ジャニーズ消滅』の後始末」より

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