44年ぶりにジャニーズのいない紅白に? 「嵐」「TOKIO」を擁護する企業、自治体の言い分とは

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3年間の空白期間

 しかし、タレントの起用見直しはNHKには死活問題のようだ。

 さるNHK関係者は、

「受信料収入が伸び悩むNHKは、若年層視聴者の獲得が最優先事項であり、ジャニーズのタレントに大きく依存してきた。今年の大河ドラマ『どうする家康』では松本潤や岡田准一を起用しましたよね。紅白でも昨年はジャニーズから6組が出場していますし、今後その穴を埋めるのは容易ではありません。NHKが世論の動向を見極め問題ナシと判断すれば、すぐにでも出演させたいのが本音では」

 年末に放送される紅白にジャニーズタレントが出場する可能性も含めて、改めてNHKに問うと、

「ご指摘のような事実はありません」(広報局)

 とのことだった。

 振り返れば、NHKとジャニーズ事務所の蜜月は、1965年の紅白にあおい輝彦らの「ジャニーズ」が出場したことに始まる。70年代は郷ひろみやフォーリーブスがジャニーズ事務所の顔となり白組を盛り上げていたが、彼らが移籍や解散によって事務所を離れたことで、77年から3年間は出演者ゼロの空白期間が生まれてしまう。

ジャニーズの紅白席巻のきっかけは?

 勢いがつき始めたのは、80年の紅白に「トシちゃん」こと田原俊彦が出場してからだろう。翌年から近藤真彦、さらにその翌年はシブがき隊が加わるといった具合に出場者数が増加。国民的アイドルだったSMAPやTOKIO、そして嵐が続き、ジャニーズのタレントは紅白を席巻し続けたのである。

 先の関係者が再び話す。

「2009年を境にジャニーズのグループが毎年4、5組出ることが常態化し始めました。芸能ドラマ部門を担当してきたNHKの元理事でジャニーズ事務所の顧問になった若泉久朗氏が太いパイプを持っていたことが知られていますが、ジャニーズ問題を検証したNHKの『クローズアップ現代』では、実名での放送はされませんでした」

踏み込む覚悟

 ジャニーズJr.のオーディションを受けた経験もある『ジャニーズは努力が9割』の著者・霜田明寛氏は、

「NHKに限った話ではありませんが、これまでジャニーズ事務所と蜜月関係にあったにもかかわらず、メディア全体が今回の一件で手のひらを返したように無関係を決め込んで起用を取りやめる姿勢には疑問が残ります。被害者への補償が進み、設立される新会社へタレントが移籍して新体制が確立すれば、テレビ各局は起用に動いていいはずです。もちろん起用すれば世論の賛否両論に巻き込まれるかもしれませんが、起用して議論を呼ぶことで、きちんと自分の問題として踏み込む覚悟が必要ではないでしょうか」

 蜜月ぶりに頬かむりして様子見を決め込むNHKに対し、あえて逆風が吹き荒れる中でジャニーズのタレントを起用するケースもある。

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