Netflix版「ONE PIECE」大ヒットの理由は? 「脚本に日本と海外の差が」「原作への強いリスペクト」
これまでも人気漫画の実写化はあまたあったが、原作ファンの不興を買い、興行面でも失敗する傾向にあった。だが、ネットフリックス版「ワンピース」は違う。世界中で視聴数1位を獲得しているだけでなく、原作読者も納得の出来なのだという。成功の理由とは?
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〈海賊王の遺した「秘宝」を巡って、海賊たちが争う大航海時代。少年ルフィも、海賊王目指して旅に出る〉
これが、全世界累計発行部数5億を超える漫画「ワンピース」の、ごく簡単なあらすじである。
ネットフリックスでその実写ドラマのシーズン1(全8話)が8月31日から配信されているのだが、週間グローバルTOP10で首位を獲得。世界93の国・地域でもトップ10入りを果たしたという。
もっとも、抜きんでているのは視聴数だけではない。海外の映画批評サイトでも、視聴者たちがこぞって称賛の声を上げているのだ。
1話あたり26億円の製作費
アニメジャーナリストの数土直志(すどただし)氏が、大ヒットの理由を解説する。
「今まで、日本の漫画を海外で実写化しても、その漫画のタイトルを利用するだけで原作を大切にしない傾向にありました。漫画原作のハリウッド作品がしばしば、漫画のファンからたたかれてきた原因です。ですが、本作では製作サイドが原作を強くリスペクト。漫画の原作者自身も製作に相当深く関与できた。結果、漫画が持つ根幹のイメージを崩すことなく、実写化することに成功したのです」
また、海外配信サービスの資金面での強さについても以下のように指摘する。
「今回、『ワンピース』を実写化するにあたり、ネットフリックスは1話当たり約26億円という製作費をつぎこんだといわれています。日本の映画会社では、まず不可能な金額です」
グローバルな展開を前提に、巨額製作費を惜しみなく投じたことも、高いクオリティーを維持できた要因だというのだ。
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