腹心コーチ押しつけで「原派」一掃に“暗雲” 阿部新監督(44)誕生で巨人、FA加藤貴、筒香獲りには“光明”
WBC監督と引き替えの「原勇退プラン」
プロ野球巨人の原辰徳監督(65)が4日、今季限りでの退任を表明した。来季監督には阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチ(44)が昇格。原監督は表向き辞任だが、3年契約の1年を残し、成績不振の責任を取らされての事実上の解任だ。
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球団は2018年オフ、不振のチーム再建のため三顧の礼で原監督を迎え入れたため、穏便に阿部新体制への移行を進めたい事情を抱える。それを見透かしてか、原前監督は自らの腹心のコーチたちを、自身が指揮を執るはずだった来季までは残留させるよう球団に要望したという。
新監督なら誰もが気心が知れたコーチたちで周辺を固めたいところだが……。巨人は阿部監督の下、心機一転といきたい矢先に、早くも試練に直面するかもしれない。
球団関係者によると、原監督の退任は読売本社主導だった。
「監督自身は8月には来季の構想を周辺に話すなどしていた。間違いなく続投するつもりでいたと思う」
しかし、3年連続で優勝を逃し、同一監督では球団史上初となる2年連続Bクラスの低迷ぶりは、本社も看過できなかった。9月30日、Bクラスが決まる試合の直前に山口寿一オーナーが「契約についてどう考えるかということも含めて、真剣に考える必要がある」と意味深な発言で、原監督の続投は明言しなかった。
「それ(オーナー発言)まで本社は選考が難航していた(26年)ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)代表監督を打診し、スムーズに勇退する道を用意していた。来季も指揮を執りたかった原監督は固辞したが、Bクラスが決まったことで退任は避けられなくなった。オーナーとは10月に入って話し合いを持ち(候補に挙がっていた)桑田(真澄)さんらではなく、慎之助を後任とすることなどを条件に辞任することで、話がついたようだ。その場では自分が誘ったコーチたちは1年だけ残すよう要望もした」(同関係者)
阿部新監督は原監督に後継指名の恩義
原監督の腹心の中で、大久保博元打撃コーチ、阿波野秀幸、久保康生両投手コーチは今季、加入したばかりだった。少なくとも原監督とともに来季までは仕事ができるはずだった。大久保コーチは飲食店経営など、それまでの仕事を二の次にし、原監督の誘いに応えている。原監督の球団への要望は当然で、指揮官が任期途中で去るケースでは球界でよく聞く話だ。
「阿部監督の立場になって考えれば、原監督が残したコーチとは一緒に仕事をしづらいところがある。今度はチームで全責任を取る立場に変わるから、思うように組閣したいところ。ただ、後継者に指名したもらった恩義があり、読売も原監督に身を引いてもらったことから波風は立てたくない。今季のような要職ではないポジションで落ち着くことになるのではないか」(NPB球団元監督)
原監督の影響力を残さないような配置にできるかどうかが新体制の成否の鍵を握りそうなのだが……。「新監督の考えも十分に聞いて、最終的には私が自分で決めること。意見、調整がつかないとか、分かれていった場合には私が決めようと思っています」との山口オーナーの言葉には難航することも予感させる。
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