阿部巨人が狙うFAの目玉、オリックス「山﨑福也」 セ・リーグ向きの選手と言われる根拠
年俸Cランクで2ケタ勝利
山﨑が国内FA権を取得したのは、8月27日だった。試合後、FA取得について聞かれ、
「うれしく思っていますし、このチームには成長させてくれたという部分もあるので感謝しています」
と、率直な思いを返し、続けて、
「今はチームも3連覇目指してやっているので、そこに貢献というか、それだけを考えて」
とも話していた。権利を行使するとも「しない」とも言っていない。「シーズンに集中したい」は、本心から出た言葉だろう。しかし、これまでFA権を取得した選手の常套句であり、他球団はそうは見ていない。
「山﨑の今季の推定年俸は6000万円。チーム総年俸19億7400万円とされるオリックスにおいて、彼の年俸は上位10傑に入っていません。人的・金銭的補償の発生しないCランク選手なんです。2ケタ勝利が計算できる左の先発投手が獲れるのなら、どの球団も興味を示すでしょう」(前出・同)
変化球を織り交ぜた緩急自在のピッチングがウリの山﨑は今季、キャリアハイの10勝を挙げている(5敗)。オリックスのリーグ3連覇の原動力は強力な投手陣で、先発陣は絶対的エース・山本由伸(25)、左腕・宮城大弥(22)、開幕投手・山下舜平大(21)、さらに今季売り出し中の東晃平(23)もいる。
「山本の3年連続4冠(最多勝、防御率、奪三振、最高勝率)はほぼ確実となっています」(在阪メディア関係者)
山本のポスティングシステムによる今オフの米球界挑戦は規制路線とされており、実現すれば来季から各投手に課せられる責任の度合いも変わって来る。山本に次ぐ10勝、奪三振118個の宮城、成長著しい山下がいるので勝ち星の計算上では安泰だ。オリックスも山本の夢を応援する方向だが、こんな見方もされている。
「山本の勝率は7割2分7厘、彼が先発する時点でオリックスナインは『勝った』という気持ちになります。山本が抜けた後、数字には表われない心理的な影響も出るはず。他先発陣も山本に牽引されてきたので、絶対的エースが抜けた後はチームにとっては痛いでしょう。山﨑のような経験豊富な投手は絶対に引き止めるべきです」(前出・同)
後半戦は東だけではなく、曽谷龍平(22)、黒木優太(29)も先発ローテーションに名を連ねてきた。山﨑は球団に対する不満は持っていない。しかし、「下からの突き上げ」もあり、厳しい年齢にもなってきた。今季の10勝をそのまま巨人にスライドさせて考えた場合、戸郷翔征(23)の12勝に次ぐ勝ち星となり、ほかに2ケタ勝利を挙げた先発投手がいないため、大幅昇給も夢ではない。
「今季、ソフトバンクから阪神に移籍した大竹耕太郎(28)がキャリアハイの成績を挙げました。球種が豊富な左腕が、セ・リーグには少なかったからです。山﨑はスライダー、チェンジアップ、フォーク、カットボール、カーブと変化球も持ち球が豊富です。第2の大竹になる可能性はあると思います」(ベテランスポーツ紙記者)
[2/3ページ]