「大谷翔平の復帰率は65%以上かもしれない」専門医が分析 MLBのどの選手に聞いても「大谷はストイックだから克服できる」と太鼓判

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「トミー・ジョン手術でなければ復帰率は上がる」

 大谷選手の願い通り、早期復帰は可能か。スポーツ医学が専門で京都府立医科大学整形外科の木田圭重(よしかず)医師に話を聞いた。

「前回は右手首の長掌筋腱(ちょうしょうきんけん)を右肘に移植し、内側側副靱帯を再生させるという、いわゆるトミー・ジョン手術を行ったわけです。その際に再建した腱が今回、損傷してしまったのならば、再度、同じ手術を受ける必要があったでしょう」

 こう指摘したうえで、次のように続ける。

「執刀医は手術後、“移植した長掌筋腱には損傷がなく、前回と異なる箇所に損傷があった”という趣旨のコメントを発表しています。以上を踏まえれば、トミー・ジョン手術ではなく、“インターナル・ブレース”、つまり人工靱帯で損傷部位を補強する手術を行った可能性が最も高いといえそうです」

 そしてこんな見通しを。

「2015年の調査ですが、トミー・ジョンを2回受けたMLBの投手の復帰率は65%、復帰までに要した日数は20.8カ月というデータがあります。今回、大谷が2度目のトミー・ジョンを免れたならば、比較的軽傷だったはず。その場合、復帰率は65%よりは高い数字でしょうし、復帰までの時間も短期間になるでしょう」

 ファンにとっても希望を持てる話である。また、大谷選手は左打ち。バッティングの際に右肘には負担があまり掛からないため、

「打者としては来シーズンから復帰できます」

 そう太鼓判を押すのだ。

不吉な数字

 しかし一方で“絶望的”な数字も。スポーツ紙デスクが言う。

「トミー・ジョンを2回受けたメジャー投手が復帰後、MLBに在籍できた期間の平均は3.2年です。大谷がトミー・ジョンではなく、人工靱帯を使って靱帯を補強し、マウンドに復帰できたとしても、再び先発投手として長く活躍できるかどうか……」

 これが危惧の焦点になるのは、選手生命の残り時間が選手の価値に直結するからだ。だがこの点、「Full-Count」編集部の小谷真弥氏は次のように語る。

「MLBのどの選手に尋ねても、“大谷はストイックに野球に取り組む選手。どんな手術を受けたにせよ、彼であれば必ず克服できる”と、答えが返ってくる。ピッチングに関しては、これから1シーズンのリハビリ期間に入るとはいえ、大谷は打者としてもトップクラス。価値を大幅に下げることはないでしょう」

 実際、今季終了後、フリーエージェントとなる大谷選手についてはけがを負った後も移籍のうわさが絶えない。

「ドジャースやジャイアンツといった資金力のある西海岸の名門だけではなく、東海岸の強豪、メッツも契約に動くとの現地報道もあります。移籍した場合はMLB史上最高額の5億ドル(約744億円)級になるのは間違いありません」(前出・デスク)

 アーロン・ジャッジのア・リーグ最多本塁打記録62本を抜けなかったのは残念だが、オフシーズンのリハビリ中に別の“新記録”更新か。

週刊新潮 2023年10月5日号掲載

ワイド特集「風立ちぬ」より

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