「バットで歯を折り…」「未成年に喫煙させ、“拡散されたくなかったらカネ貸せ”」 立教大学野球部で起きていた暴行、強要事件の真相
歯が折れたのに“ふざけてバットを使って遊んでいた”と説明
さらに部員たちを驚かせたのは、「歯折事件」についての処分だったという。
「“悪ふざけの延長で、あくまで事故”との内容で、“主力”に処分なしとの結論が出たのです。これにはみな納得していませんでした」
悪ふざけのつもりだった――とはイジメ事件で出る加害者の下手な言い訳の常套句だが、その説明会の模様を録音した音声がある。中身を聞くと、
〈歯を折ったという話なんだけれども、これはふざけてバットを使って遊んでて、それがつい力が入ったのか、少し乗り過ぎちゃったのかわからないけれども、バットのグリップが歯に当たっちゃって、歯が折れたということが起こった〉
〈ほぼ100%純粋に事故というかアクシデントということ〉
部長が事件を必死に矮小化しようとしていることがわかるのである。
「やった側が事故と言えば、許されちゃうのかよ、と。しかも、当事者だけの聞き取りで済ませているのも疑問。被害者はなかなか本当のことを言えませんよね。説明会の最後には、監督から“自分は今年の秋で監督になって10年。任期満了で交代する”との発表が。でもそのことは以前から決まっていてみんな薄々知っていた。わざわざこの席で言うのは、事を荒立てるなと情に訴えかけたようにも聞こえました」
紛れもない暴力
スポーツ法務に詳しい、日本スポーツ法学会事務局次長の安藤尚徳弁護士は、
「とりわけ歯の欠けた一件は紛れもない暴力といえます。被害者が訴えれば罪に問えるレベル。大学の体育会では構造上、先輩の命令に逆らうのは難しく、被害者が断らなかったとしても、結果としてけがを負っているのであれば、『傷害』と認定できる。これを遊びと認定したことは、部内で暴力が横行する環境を認めてしまったことに他なりません」
こうした大甘処分のツケは回っていて、その後も“主力”の横暴は増す一方。
「処分なしに終わった後は、周囲に“キャラ勝ちしたわ”と言っていたくらいです。8月には1年生に対し、ライターで殴る、フォークで刺す、高く投げたボールをヘディングさせるなどの暴行があったそうです。その後も些細なことでキレ、寮で10代の1年生に焼酎をストレートで飲ませたり、歯磨き粉を食べさせたりすることもあったと聞きました」(野球部関係者)
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