「お母さんに楽をさせるために高校卒業前に入門した孝行息子」 秋場所の主役・熱海富士の「愛されキャラ」な素顔とは?

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 大関・貴景勝の注文相撲に屈し、史上最速となる“初土俵から18場所での初優勝”を逃した熱海富士朔太郎(21)。地元・熱海の人々に取材すると、家族思いで“愛されキャラ”な素顔が見えてきた。

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 優勝決定戦後、支度部屋に戻って足のテーピングを外しながら、まるで負けてしまった自分を責めるかのようなぶぜんとした表情で言葉をひねり出した。

「本割で負けて、決定戦で負けて……悔しいです」

 それでも、間違いなく秋場所の主役だった。千秋楽を迎えて、11勝3敗の単独トップ。取組前の幕内土俵入りでも、出身地の名物「熱海プリン」の化粧まわしを締めて登場すると、この日一番の大声援を受けていた。

「厳しい稽古の後にも皿洗いのバイトを」

 国技館に負けないほど盛り上がったのは地元・熱海。優勝の可能性が見えてきた場所後半には、熱海富士の取組をテレビで見るため、夕方になると街から人が消えてしまったほどだった。千秋楽には総合福祉センター3階に急きょパブリックビューイングが設けられ、市長や地元後援会長、熱海市在住の歌手・橋幸夫さんら120人が集まった。

 熱海富士の本名にちなんで店名を「さくちゃん」にしたという焼き鳥店でも熱烈なファンが集まりテレビ観戦。土俵上で両腕をぐるぐる回すしぐさをすると「高校時代からの癖だよね。小学校時代は野球をやってたんだけど、その時もバットを頭上で回すのが癖だった」。国技館で応援している母と妹がテレビに映されると「近くの温泉施設で働くお母さんに早く楽をさせたいって、高校卒業前に入門した孝行息子なんだ」「高校時代、厳しい稽古の後にも皿洗いのバイトして、偉い子だよ」。

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