ロシア軍は戦々恐々…米国がウクライナに供与を決めた長距離ミサイル「ATACMS」のトンデモない実力 専門家は”微妙なさじ加減”に注目

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 ブルームバーグ(日本語版)は9月23日、「バイデン政権、ウクライナにATACMSを少数提供へ-関係者」との記事を配信し、YAHOO!ニュースのトピックスに転載された。ATACMSは「エイタクムス」と発音され、日本語に訳すと「陸軍戦術ミサイル・システム」となる。

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 ATACMSの性能は極めて高く、いわゆるゲームチェンジャー、戦況を一変させる兵器だと指摘されてきた。今回、初めて供与されるわけだが、ウクライナの念願がようやく叶った形だ。

 2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻すると、早くも6月の時点でATACMSを供与すべきか議論になった。

 ゼレンスキー大統領は供与を切望していた。しかし、バイデン大統領は22年6月21日の会見で「第三次世界大戦は望まない」と強く否定。さらに今年1月にもアメリカ国防省の高官が「性能が過剰だ」と説明したことを読売新聞が報じた(註1)。

 ATACMSを供与するとロシアを過度に刺激しかねない──これがアメリカの本音だった。軍事ジャーナリストが言う。

「ATACMSの射程距離は300キロメートルと長く、命中精度も高いことで知られています。東京都庁から300キロ圏内といえば、静岡県、愛知県、富山県、長野県などです。これらの地域なら、どこでもピンポイントで攻撃できるわけです。ロシアにとって脅威であることは言うまでもなく、対抗措置として戦術核の使用をほのめかしても不思議ではありません。バイデン大統領の『第三次世界大戦は望まない』という発言は、ATACMSの高性能を考えれば当然でした」

やはり怖いロシア

 だが、遂にアメリカは供与へと踏み切った。ロシアの恫喝に屈せず、ウクライナに対する強い支援を実現したということなのだろうか。

「ブルームバーグを筆頭に欧米のメディアは、全て『少数』の供与と報じています。これは異常事態と評しても大げさではありません。ホワイトハウス側が『少量』を強調しているわけですが、本来ならあり得ないことです。情報戦でロシアにプレッシャーを与えるためにも、供与数を公表しないのが普通でしょう。バイデン政権が供与を明らかにしながら同時に火消しにも躍起なのは、依然としてロシアの反応が怖いからです」(同・軍事ジャーナリスト)

 ならば「ATACMSはロシアの逆上が心配されるほど高性能な兵器」という言い方も可能だろう。一体、ATACMSの何が凄いのか。

「クリミア半島の港湾都市セバストポリに、ロシア黒海艦隊の司令部があります。ウクライナ軍は9月22日、司令部の攻撃に成功したと発表。34人の将校が死亡し、その中に艦隊司令官のビクトル・ソコロフ大将も含まれているとの情報も飛び交いました。さらにBBCは、攻撃にはイギリスとフランスが共同開発した空中発射巡航ミサイル『ストームシャドウ』が使われたと報じました(註2)」(同・軍事ジャーナリスト)

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