自分の価値観を全否定されて号泣、脳梗塞で入院した義母にありえない陰口… 41歳夫が妻に感じる人間性への疑問
前編【「彼女は恋愛が面倒だったんでしょう」 自分に有益なことしかしないエリート女性と結婚した41歳夫の苦悩】からのつづき
米倉晋さん(41歳・仮名=以下同)は、9年前に妻の希代子さんと結婚し、娘が生まれた。希代子さんはとにかく「自分にとって有益なことしかしない」。歪な育てられ方をしてきたことがその背景にあると晋さんは見ているが、娘が泣いても放っておくなど、自分の子供に対しても接し方がおかしかった。育児は晋さんの母に任せつつ、彼は妻との気持ちを知ろうと努力していた。
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保育園のお迎えは、週のうち半分は晋さんが、半分は母親が担当してくれた。さすがに母も、この頃になると疲労が見られるようになってきた。
「悪いなと思いながらも甘えるしかなくて。でも妻もだんだん娘に愛情を表現するようになったんですよ。時間があれば抱いて話しかけていました。1歳を迎えるころには、かなり娘に時間を割くようになった。でも見ていると、英才教育の教材をせっせとやってる。やめろと思わず言いました。きみは自分が母親の言いなりになって生きてきて、それがベストだと思っているのか、不自由だな、つまらないなと思わなかったのか、それをまた自分の娘にやらせるのかと。そのとき、妻の表情が一瞬にして崩れた。僕は人がああやって泣くところを初めて見ました。号泣なんてものじゃない、涙とともにすべての感情が消え失せてしまうのではないかと怖かったほどです」
妻は泣き続けた。そしていきなり眠った。週末、まる1日眠り続け、起きてきたときは少しすっきりしたような顔をしていた。
「大丈夫かと聞いたら、『何が正しいの? 私、もうどうやって生きていけばいいかわからない』と。彼女のすべてだった価値観を僕が否定したと責められました。そういうつもりじゃない、価値観は多様だと知ってほしかったと言ったのですが、納得いかない顔をしていました」
彼女には彼女の理屈がある
彼女は大学を卒業するまで、テレビをほとんど観たことがないのだという。勤務先にテレビがあって、たまにニュースを見ていたという程度。そういう女性とこの先、どうやって子どもを育てていけばいいのか、晋さんも悩んだという。
「彼女も悩み始めたというのは、いい兆候なのではないかと思いました。自分の正義だけが正しいわけではない。それを認める一歩になればいいなと。そんな彼女を放っておけなかったから、僕は仕事も家事も育児も精一杯がんばりました」
母もときには泊まり込んでめんどうを見てくれたが、希代子さんはそんな母にお礼ひとつ言わなかったが、ときおり母に封筒をよこした。中には数万円のお金が入っていたという。
「失礼でしょう。母は使用人じゃないんだから。そういうことをするとかえって失礼だよと言ったんですが、希代子にとって母は娘と血縁関係がある。だからお礼を言っていいかどうかわからなかった、でも感謝の気持ちは伝えたい、それにはお金しかなかったというんです。彼女には彼女の理屈があるんですね。一般常識とは違うけど……」
彼が少しずつ彼女の理屈を理解するように、彼女も彼の理屈を理解しようとしていた。娘が3歳になるころには、一緒に七五三を祝うこともできた。
「彼女自身は七五三も祝ってもらえなかったそうです。かなりいびつな家庭だったんだろうと想像できますよね。なんだか気の毒でたまらなかった」
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