「病院選びで一番大切なのは看護師」「看護師数が最も充実している県は…」医師が提言 「大卒看護師10%増加で死亡率は5%低下」という調査も

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医師の数も「西高東低」

 この傾向は看護師だけに限った話ではありません。医師の数も、同じような「西高東低」の特徴がみられるのです。

 20年現在、医療施設に従事する都道府県別・人口10万人当たりの医師数は、1位が徳島県の338人、2位が京都府の333人、3位が高知県の322人。ワースト1位はやはり埼玉県で178人、次いで茨城県が194人です。神奈川県や千葉県も200人台前半で、全国平均の256.6人を大きく下回っている。

 唯一の例外は東京都で、医師の数に関しては321人と全国平均を大きく上回っています。ただ、埼玉・神奈川・千葉を合わせた1都3県の医療を賄える体制には程遠いといえるでしょう。

 ヒトやモノが人口に比例して大都市圏に集中する。これは資本主義社会、自由主義経済において当然の法則といえます。ですが、医療に関してはこの法則がどうも当てはまらない。

 では、このような偏在が起こるのはどうしてなのか。実は、その理由は医師や看護師の養成機関である日本全国の医学部の数や成り立ちと密接にかかわっているのです。

 現在、日本全国には82の医学部が存在しています。ここから自治医科大学や産業医科大学、防衛医科大学校といった特殊な医学部を除けば、全国にある医学部は79学部といえます。

 このうち、東京の医学部数が最も多くて、13学部。次に多いのが大阪の5学部ですから、いかに東京が突出しているかが分かると思います。東京の人口はおよそ1400万人ですから、東京には約108万人に1カ所の割合で医学部が存在していることになります。

医師の数と医学部の数はきれいに相関

 ところが、東京以外の関東に目をやると、神奈川県は4学部、千葉県は2学部、それ以外の茨城、埼玉、栃木、群馬は1学部ずつで合計10学部。東京を除いた関東6県の人口がおよそ2900万人ですから、医学部は290万人に一つの割合です。医学部の定員はどこも100~150人程度で大差ありませんから、東京とそれ以外の関東6県で明らかに医師養成数に開きが生じているのです。

 関東6県の内訳をみるとさらにいびつで、埼玉県は人口730万人に対して医学部が埼玉医科大学の1カ所だけ。千葉県も17年に国際医療福祉大学医学部が新設されるまで人口約620万人に対して千葉大学医学部の1学部のみでしたから、医師の養成数は圧倒的に足りません。

 一方、四国4県では、人口約360万人に対して医学部が各県一つずつの4学部。13の医学部を擁する東京よりも人口当たりの医学部の数が多いのです。人口10万人当たりの医師数で1位と3位に徳島と高知がランクインしているのには理由があるのです。

 ちなみに人口10万人当たりの医師数が2位の京都府は、人口約260万人に対して京都大学と京都府立医科大学の二つの医学部が存在している。やはり医師の数と医学部の数はきれいに相関するのです。

 九州も医学部の数は充実していて、沖縄を含む8県約1400万人の人口に対して医学部が10学部。人口10万人当たりの医師数もほぼ全国平均以上で、関東6県とは対照的です。

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