1人50万円で政治家に「スピーチ研修」を売る29歳女性社長の正体 「一部は税金で賄われる」

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 日本維新の会は、今年4月の統一地方選で大躍進を遂げた。一方で、スキャンダルが相次ぎ「議員を粗製乱造し過ぎたのでは」との声も。そんな折、維新が党を挙げて導入を決めたのが、「伝え方プログラム」。民間企業のノウハウは、政治家育成の役に立つのか。

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 早稲田大学の創設者にして、自由民権運動を推し進めた大隈重信公はかつて、政治について以下のように語ったという。

〈政治の術はすべて国民の政治的心理の上に、人の心の上に働く術である〉

 こうした大隈公の考えをもとに、早大には「雄弁会」が発足したのだが、

「日本維新の会は、“政治の術”を学ぶ場を民間に委託しようとしています」

 とは、さる政治部記者。

「維新は、先の統一地方選で地方議員と首長の数を改選前の約1.7倍となる計774人に増やしました。一方で、所属議員のセクハラやパワハラなどに関する告発が相次ぎ、新人議員らの質が党内外で問題視されるようになりました。そこで、維新は民間企業と提携。次期衆院選の公認候補予定者らを対象に10月からスピーチの研修を始めることになったのです」

税金で賄われる高額な研修費

 その民間企業の名前は「カエカ」。2019年創業のベンチャー企業で、AIも利用したスピーチトレーニングが基幹事業だ。千葉佳織氏が齢29にして代表を務める。彼女の経歴はなかなか“ユニーク”で、

「高校では弁論部に所属。弁論大会で内閣総理大臣賞も受賞しています。また、慶應SFC時代にはミスコンに出場したほか、オスカープロモーションの『第2回美ジネスウーマンコンテスト』のファイナリストにも選ばれた。卒業後はIT大手に就職したものの、2年半で退社し、今の会社を立ち上げています」(同)

 カエカはHPで、26歳の史上最年少市長・高島崚輔芦屋市長もトレーニングを受けたとアピールしている。

 だが、ある維新関係者は、

「代表の千葉氏自身が政治や選挙に通じているわけではありません。AIを使ってスピーチ力を判定し、トレーニングに生かすという触れ込みですが、議員らの反応は“AI? なにアホなこと抜かしよんねん”という感じです」

 どうやらあきれ顔なのだ。加えてこうも言う。

「研修費が1人50万円と高額。党が大半を負担し、国会議員の自己負担額は10万円で地方議員の負担額が5万円。政党には税金が原資の政党助成金が入っているので、一部は税金で賄われることになります」

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