女性にハレンチ行為を繰り返した駐日大使の「小6息子」 ついに被害届が提出され、元公安警察官が使った最後の手段とは
「女性の敵」
結局、勝丸氏が父親である大使と面会することになった。
「秘書に連絡し、大使と会いたい旨を伝えました。大使とは顔見知りでしたし、彼がトラブルに巻き込まれた時に相談に乗ってあげたこともありましたので、すぐに会うことができました」
大使は、勝丸氏の顔を見ると機嫌良く迎え入れてくれたという。
「ところが、大使に息子さんが行ったことを話すと、態度がガラリと変わりました。『何を言っているんだ。何を証拠にそんなことを言うんだ。それは私の国に対する侮辱だ』と怒り出しました」
勝丸氏は、このことを公安部長に報告。すると、部長は激怒したという。
「そんなことがあった後、大使の息子は再びとんでもないことをしでかしました。またいつものように40代半ばの女性の後ろから忍び寄って、お尻の下から手を入れ触ったのです。びっくりした女性は転倒してしまい、両膝を擦りむいて出血。全治1カ月の怪我を負いました。女性は被害届を提出、傷害事件となりました。日本の少年が同様のことをした場合、14歳以下ですから逮捕はされませんが、児童相談所扱いとなります」
これでは公安部も厳しく対応するしかない。外交官のお目付役を担う外務省の儀典官室(プロトコール・オフィス)に報告したという。
「この部署は、問題のある外交官に『ペルソナ・ノン・グラータ(好しからざる人物)』を通告して国外退去処分にすることができます。儀典官室の担当者に報告すると、『女性の敵ですね。絶対許すことは出来ません』と。大使に捜査協力をしてもらいなさいと言われました」
勝丸氏は、所轄署の生活安全課の刑事と一緒に再度大使と面会した。
「大使に女性が提出した被害届を見せると、『何の証拠があるんだ』と怒っていました。息子さんの写真を被害女性に見せ、間違いないことを伝えましたが、『勝手に息子の写真を撮って女性に見せるなんて、二国間の問題に発展するぞ』と言い張っていました。捜査協力をお願いしても、『協力しない。息子を信じている』と言うだけです」
勝丸氏は、儀典官室に大使とのやりとりを報告した。
「すると儀典長が大使を外務省に呼び出しました。儀典長は局長級の役職で、その後オーストラリア大使に任命されたりします。大使にとって、儀典長に呼び出されるのは大変不名誉なことです。儀典長は大使に『捜査の結果、息子さんが傷害事件を起こしたのは間違いありません。捜査協力をしていただけないのなら、本国の外務省に捜査資料を送付して、協力してもらえるよう依頼しますがどうします』と言うと、大使は真っ青になって『全面的に協力します。息子には登下校の際に付人をつけて監視します』と、観念したそうです」
結局、怪我をした女性に医療費と慰謝料を払い和解。被害届は取り下げられた。少年の問題行動もなくなったという。
「大使は1年後に帰国しました。離任の際、大使は私に『申し訳なかった。もっと早く対応すれば良かった』と反省していました」
[2/2ページ]