買った犬から「先天性障害が見つかった」とペットショップ「クーアンドリク」を訴えた男性 クーリクは「後天性」と主張、最大の争点は「命の交換契約」
「命の交換契約」は有効か
結局、クーリク側から最終的に提示された解決案は、購入費約64万円分のうち、「安心パック代」として代金に含まれていた6万5000円を返金するというものだった。
「引き渡しの時に店員は『元気なわんちゃんです』と言っていたし、渡された健康診断チェックシートの『膝関節』の欄には右左足ともに『問題なし』にチェックが入っていたのです。こんな金額で納得できるわけがない。もちろん手術はしました。大腿骨を削って溝を作り、内側に寄ってしまった腱をその溝に動かし、さらにお皿を正しい位置に持ってくるために筋肉を切断するという、三つの術式を組み合わせた大手術でした」
そして、昨年11月に東京地裁でクーリクに約280万円の損害賠償を請求する裁判を起こした。クーリク側は全面的に争い、現在も係争中だ。主な争点は2つで、一つはクリが患っているパテラは先天性疾患であるか否かという点。Yさんは獣医師の診断を元に「先天性」であると主張しているが、クーリク側は「購入後の飼育期間中の外傷によって発症した可能性が否定できない」と反論している。
もう一つが上記した「命の交換契約」が有効か否かという点だ。Yさんの代理人である「朝日弁護士法人」の福井康朝弁護士が解説する。
「相手方は、『消費者契約法8条2項1号の「追完」に該当する故に有効である。また、売買の目的物が動物である以上、遺伝的な欠陥を有している危険性がある以上、交換するという方法も合理的である』と主張しています。しかし、ペットを購入した人はペットを家族として迎え入れて特別の愛情を注ぎます。先天性疾患を有していることが判明したら、代替物との交換を望まず、その治療を望むのが普通でしょう。にもかかわらず治療費を支払わないとする本件条項は、消費者契約法10条により無効であると当方は主張しています」
[3/4ページ]