「エッフェル姉さん」「ドリル優子」だけじゃない、秀逸すぎる“政治家のあだ名”を振り返る

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ポエム大臣

 あと2人。小泉進次郎氏は2019年の環境相時代、ニューヨークで開催された国連気候行動サミットの会見で、「気候変動問題のような大きな問題に取り組むことは楽しく、カッコ良く、セクシーであるべきだ」と英語で発言。以来「セクシー大臣」と呼ばれるようになった。他にも2021年4月23日に放送された「NEWS23」(TBS系)に出演した同氏は2030年度の温室効果ガス削減目標を、「2013年度比26%減」を「46%減」にすると表明。かなり厳しい目標設定をした理由を「くっきりとした姿が見えているわけではないですが、おぼろげながら、浮かんできたんです。46という数字が」と発言。霊能力でもあるんか! 

 あとは「進次郎構文」というものもある。簡単なことを難しく言ったり、同じことを別の言葉で繰り返したり、妙なたとえをする話法だ。そしていつしか「ポエム大臣」「ポエム進次郎」というあだ名にも繋がっていく。

「今のままではいけないと思います。だからこそ日本は今のままではいけないと思っている」

「私の中で30年後ってことを考えたときに、30年後の自分は何歳かなとあの発災直後から考えてました」

「約束は守るためにありますから、約束を守るために全力を尽くします」

パンツ大臣

 その中でも秀逸なのが2021年3月18日、J-WAVEのラジオ番組に出演した時、「プラスチックの原料って石油なんですよね。意外にこれ知られてない」だ。勝ち誇ったかのように豆知識を披露したが、「当たり前だろ!」のツッコミが殺到するほか、前年7月からレジ袋有料化が開始し、この出演日の直前に環境省がコンビニのスプーンや飲食店のプラスチックストローの有料化を検討しているとの報道が出ていたことも、ブーイングに影響したことだろう。

 そして、最後は「パンツ大臣」こと高木毅氏(自民党国対委員長)である。過去に地元・福井県敦賀市でパンツ泥棒をしていたことからこのあだ名となった。報じたのは週刊新潮2015年10月22日号。『「安倍内閣」が踏んだ大型地雷! 「下着ドロボー」が「大臣閣下」にご出世で「高木毅」復興相の資質』という記事がそれである。なぜこれを大トリに持ってきたかといえば、これを報じた週刊新潮の担当デスク・T氏があまりにも嬉しそうだったからである。

 同氏とは発売日前日に飲んだのだが、見本誌を私に渡し、「いやぁ~、明日はすごいスクープが出ますよ」と相好を崩して言った。もしや、大物芸能人の不倫か薬物使用か? と思ったら「高木大臣が昔、パンツ泥棒をしていたことをスクープしたんですよ!」と言い、ずっこけた経験があるからだ。確かに大スクープだが、「パンツ大臣」というあまりに間抜けな語感がおかしくてたまらなかったのだ。そしてT氏はこのスクープが相当嬉しかったのか、別の時に若手記者も交えて飲んだ時、これまた満面の笑みで「彼が高木大臣のパンツスクープを取ってきた記者です!」と若い男性を紹介してくれたのである。

 かくしてトホホな政治家のあだ名を多数見てきたが、これからいかなるあだ名がつくか。メディアとネットの人々のクリエイティビティが問われている。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。9月19日には、最新刊『過剰反応な人たち』(新潮新書)が発売予定。

デイリー新潮編集部

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