「エッフェル姉さん」「ドリル優子」だけじゃない、秀逸すぎる“政治家のあだ名”を振り返る
コオロギ太郎
海外からつけられたあだ名もある。小渕恵三氏は後に総理に就任する総裁選の際、米タイム誌から「冷めたピザ」と呼ばれた。一方、小渕氏は官房長官時代、「平成」と新元号の書かれた額を掲げたことから「平成おじさん」とも言われた。これに関連し、菅義偉氏は「令和おじさん」と呼ばれ、総理就任後はパンケーキが好きなことから「パンケーキおじさん」とも呼ばれた。
他にも「どじょう総理(野田佳彦氏)」「イラ菅(菅直人氏)」「サメの脳味噌(森喜朗氏)」「角さん(田中角栄氏)」「佐藤無策(佐藤栄作氏)」などがいた。河野太郎氏は、やたらと他人の発言をデマ扱いして、異論を挟む者をX(旧ツイッター)でブロックすることから「デマ太郎」「ブロック太郎」が定着。コオロギ食をホメた過去もあり「コオロギ太郎」のあだ名も一時期話題になった。
そして岸田文雄首相である。あまりに特徴がなく、さすがにあだ名をつけるのは難しいかと思われたが、すぐに作られた。何を聞かれても「検討する」と答えるだけで、ついたあだ名が「検討使」。その後、増税をほのめかすことが多くなったことから「増税メガネ」というあだ名も登場した。
友愛するぞ
安倍晋三氏にもネガティブなあだ名は多かった。統一教会との関係が深いとされていたため「壺晋三」と呼ばれていたのは、まぁ、アリだ。だが、持病の潰瘍性大腸炎に苦しみ、1年で辞任した第一次安倍政権の時ことを踏まえたあだ名はやり過ぎだろう。左派から「またお腹痛い痛いで辞任するの?」などとネットで散々子供扱いの揶揄を書かれた。また、カタカナで「アベ」と書かれることも多かった。語源は「アベ政治を許さない」だろう。作家の澤地久枝氏が作ったこのスローガンは、後に俳人の金子兜太氏に揮毫され、反政権デモの際、このプラカードが多数掲げられた。
そして、保守派から猛烈に叩かれた、いや、おもちゃにされ、バカにされながらも愛されたのが民主党初の総理大臣・鳩山由紀夫氏である。発想がぶっ飛んでいることから「宇宙人」と呼ばれるのは序の口。米軍基地問題であまりにも迷走し、アメリカとオバマ大統領も呆れまくった結果、ワシントンポストは鳩山氏を「ルーピー(愚か・バカ)」とコラムで表現。日本で話題になり過ぎた結果、著者は「現実離れ」という意味だったと後に説明した。
2ちゃんねる(当時)では、鳩山氏のAA(アスキーアート)が大人気で基本的には「金持ちで浮世離れした自信だけはあるボンボンのバカ」というキャラ設定になっている。2ちゃんでは他にも「ぽっぽ」や「友愛」もあった。友愛は祖父の一郎氏が使った言葉で、「博愛」を意味する。フランスの「自由・平等・博愛」の「博愛」は「友愛」である、という主張だ。それを鳩山氏は政治理念としていたが、いつしか2ちゃんでは「友愛するぞ」はオウム真理教における「殺す」を意味する「ポア」と同様の使われ方となった。
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